上写真＝板倉滉が見事な2ゴール！ 金メダルへの思いを込めて咆哮した（写真◎湯浅芳昭）
■2021年3月29日 国際親善試合（＠北九州スタジアム/観衆：7,302人）
U-24日本 3-0 U-24アルゼンチン
得点者：（日）林大地、板倉滉2
「チーム全員が東京五輪の金メダルをずっと意識しています」
「2点取れることある？ と思いました」
自分でも目を丸くして思わず笑うほどの気持ちのいい2ゴール。板倉滉が見事なヘッド2発で日本を勝利に導いた。
1-0で迎えた68分、久保建英の左CKに合わせてハイジャンプ、ヘッドで力強く叩くとバーに当たってそのままネットを揺らした。5分後にも同じく久保の左CKから、今度はダイビングヘッドで突き刺してみせた。
「建英からすごくいいボールが入ってきたのが一つと、あとは相手のマークがすごく激しくて、（古賀）太陽にマーカーとの間に入ってブロックしてもらってコースを見つけることができました」
確かに1点目は古賀の背中に張りついておいて、先に古賀が前に出ることでマークを分散させ、板倉が思い切りジャンプすることができた。組織的な駆け引きだった。
3月26日の第1戦では0-1で敗戦。センターバックでプレーしたが、バルガスに深い位置で抜き去られて折り返され、それをガイチに決められて失点した。悔恨だけが残った。リベンジの気持ちを心に秘めて、第2戦ではボランチとしてプレー。川崎フロンターレのアカデミー時代から交流のある田中碧と初めてコンビを組んだ。
そこに仕込んだ工夫がゲームを優位に進めるきっかけの一つになった。
「今日は久々のボランチで多少心配はありましたけど、碧が真ん中にいて受けてリズムを作ってくれたので、その一個前のポジションで助ける動きと守備でつぶすことを考えていました」
ほんの少しの立ち位置の変化が、相手を困らせた。
「碧は基本的に真ん中に入ってボールをさばけていましたし、ボールを持てる選手で周りがよく見えてチームを回してくれる存在だったので、いつもは並ぶ位置に入るんですけど、今日は前めのポジションに立っていました。そうすることで相手は嫌がっていたので、ボランチと2列目の間に入ろうと意識していて、それで碧がフリーになったシーンもありましたし、自分はそこを邪魔するよりも、一つ前の相手が嫌がるポジショニングを取ることは意識しながらやっていました」
オリンピックの登録メンバーは18人と少なく、オーバーエイジ枠を使う可能性もあるだけに、複数のポジションをこなせるのは大きな武器だ。この日はキャプテンマークも巻いて、精神的にもリードした。3日前の試合では苦しめられたアルゼンチン特有のフィジカルバトルにも、真っ向勝負に挑んでいった。
「チーム全員が東京五輪の金メダルをずっと意識していますし、自分自身、とにかく練習からこういうレベルの高い相手に負けちゃダメだ、勝たないといけないということを見せていたつもりでした。今日も試合の入りからそういう気持ちが前面に出て、1対1の競り合いでも勝てていたので、それが勝利につながったと思っています」
強豪を相手に確かな手応えをつかんだ2試合のレッスン。金メダルへ向けて、力強い一歩を踏みしめた180分になった。
