日本代表は6月8日、北中米ワールドカップアジア最終予選の最終戦となる10日のインドネシア戦に向けて、大阪府内でトレーニングを行った。オーストラリア戦ではキャプテンを務めた鎌田大地は、勝負を決めるために「変身」することも見据えた。

上写真=鎌田大地は日本代表のレベルの高さと、だからこそ求められる基準の高さを口にした(写真◎サッカーマガジン)

「もう明らかに日本が抜けている」

「もう、前でプレーしてる方がしんどいなっていうことです」

 鎌田大地が思わず嘆いた言葉は、本音かどうか。

 6月5日のオーストラリア戦ではキャプテンマークを巻いてプレーした。シャドーの役割を与えられ、オーストラリアが5人のDFと4人のMFで圧縮してきた小さなスペースでボールを受けてさばいて、敵の堅陣を崩すために攻撃の中心になった。ただ、所属するクリスタル・パレス(イングランド)でプレーするボランチのポジションよりも1列、ゴールに近い場所であることが「しんどい」というのだ。

「ボランチだと走行距離は増えると思いますけど、スプリントの回数はやっぱり前の方が多いので、しんどいなと」

 攻撃で相手のポジションを崩すために走るのはもちろん、守備でも奪われた直後のカウンタープレスでダッシュをかけるから、余計に体力が削られることになる。

 64分からはボランチに下がったが、それでも最初から最後までずっと攻撃のタクトを握り続けたわけだから、「しんどい」というのは彼なりのユーモアだろう。

 だからこそ、ゴールを奪えなかったことには納得していない。大きくメンバーが変わったが、その影響はピッチの上で言い訳にされることはない。

「チームとしてやろうとしてることは、基本的には共通理解でみんな分かっていると思いますし、アジアのレベルでは、試合に勝つ勝てないというところは置いておいて、選手層やチーム、選手の質は、もう明らかに日本が抜けていると思うんです。本当に誰が出てもやりたいことはある程度できる」

 選手のクオリティーに自信があるからだが、その分、基準が高くなる。

「結局はやっぱり、勝つ勝たないが一番大事だと思いますし、最後の質の部分、守り切るだったり、ゴールを入れ切るだったり、そういう部分が最後は変わってくる」

 質が高いからこそ、勝負の際で振る舞う真のレベルが問われる。その矢印は、自分自身にも向けている。

「僕自身は1人で何とか打開して点を取ったりだとか、1人で何かできるタイプじゃないんで、改めて、選手個人としてはまだまだもっとよくできる部分がいっぱいあると思います。そういう部分で、ああいう難しいタイミングで、何か変えれるようになれればいいと思います」

 パスで味方を輝かせる鎌田が、例えば1人で相手をかわして自分自身を輝かせることができれば……別の能力を研ぎ澄ませたときに、また新しい日本代表が見られるだろう。いまからでも遅いということはない。


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