上写真=ボール回しでウォーミングアップする藤田譲瑠チマ(写真◎サッカーマガジン)
もっと成長しないといけない
藤田譲瑠チマが最終予選で初めて出場機会を得たオーストラリア戦は悔しい結果に終わった。70パーセント近くをボールを握りながら、90分に失点して0−1で敗戦。藤田はボランチとして先発し、割り切って守る相手を崩せなかった責任を感じていた。
「自分個人としては初めての最終予選でしたけど、結果を見ればやっぱり悔しかったですし、もっと自分のところでチャンスを作れたらよかった」
最終ライン5人+中盤4人のブロックを組み、日本を引き込んでカウンターを狙う相手の術中にハマって、結果、敗れた。試合から2日を経て、改めてどんな手段があったのか、聞いた。
「もう少しオープンな展開にできればよかったと思いましたけど、あれだけ引かれたら無理矢理にでも1人剥がして数的優位を作る場面も必要だと思います。あとは自分のところから飛び出してフリーマンとしてボックス内に入っていく動きがもっと必要だった」
昨年、ホームで対戦した際も、オウンゴールを手にして1−1で引き分けたが、徹底して守るオーストラリアに苦しめられた。カタールワールドカップでも同じように5−4で守るコスタリカを攻めあぐねて0−1で敗戦。その守り方は、すでに日本対策として定番化しつつあるが、アジア勢との戦いで、分厚く守る相手を攻め崩すために日本は最終予選から両ウイングバックに攻撃的な選手を配する3−4−2−1を採用したはずだった。
しかし、オーストラリアのように力のある相手が徹底して守った場合には、やはり攻め崩すのは容易ではない。そのことが今回の試合で教訓として残った。
「(自分の持ち味を)出しきれてはいない。もっとやらないといけない」
展開力に加えて、機に臨み変に応じて第3列から前線に絡んでいくことは、藤田の特徴の一つ。その意味でオーストラリア戦は持ち味を出し切ったとは言い難い。実力国の「5−4ブロック」を崩し切るには、1トップ+2シャドー+2ウイングバックだけでは足りなかった。さらに「+1」するようなプレーが求められる。藤田が「フリーマンとしてボックスに入っていく動きが必要だった」と語ったのは、まさにそういう意味だった。
「成長しないといけないなと思います」
ワールドカップまであと1年。サバイバルを勝ち抜くために何をすべきかを問われて、藤田は答えた。
代表のボランチは激戦区だ。オーストラリア戦でコンビを組んだ佐野海舟や途中から並んでプレーした鎌田大地、キャプテン遠藤航、さらに今回招集されていない守田英正や田中碧、そして今回の活動に参加している熊坂光希、佐野航大。巡ってきたチャンスにどれだけ違いを示すことができるか。
「チャンスに絡んでいくところをもっと増やさないといけないと思いますし、(オーストラリア戦では)何本かあった縦パスだったりは有効になると思うので、意識してやれたら」
次戦は10日のインドネシア戦。強い思いで、藤田は準備を進めていく。
