上写真=現地3日、オーストラリア戦に向けたトレーニングで汗を流す佐野海舟(写真◎青山知雄)
もちろん自信は持っている
2024年1月のアジアカップ以来、1年4カ月ぶりに代表復帰を果たした佐野海舟が現地3日の練習後に取材に応じた。
「本当に高いレベルでトレーニングできていると思いますし、新しい選手が多い中でしっかり戦術を落とし込んで、短い期間でどれだけ完成度高く持っていけるかが重要かなと思います」
5日のオーストラリア戦で出場機会があるかどうかはわからないが、そのボール奪取能力と推進力によって、ブンデスリーガ随一のボランチと称されるまでになった力を代表に還元することが期待されている。
ただし、本人によれば、所属するマインツで見せてきたプレーをそのままピッチで表現すればいいわけではないようだ。
「もちろん自信は持っています。でもマインツでできていることをここ(=代表)で100パーセント、そのままでやっていいわけでもないと思いますし、マインツでやれていることで、ここで出していいものとバランスを取って合わせていくところを、しっかり自分で見極めながらやれればいいと思っています」
当然ながらチームのやり方はそのまま同じというわけではない。日本代表には日本代表のやり方がある。自分の持ち味を出すべきところと、代表で求められる役割を果たすところのバランスが重要だと佐野は強調した。
3日の全体練習後には齊藤俊秀コーチを交え、瀬古歩夢、渡辺剛、藤田譲瑠チマと話し合う姿が見られた。その姿からは、短い時間の中でも代表のスタイルを理解しようという姿勢が見て取れた。
「守備の面で課題が何個かあったので、守備の練習は今日はできていないですけど、明日しっかりやりながら。短い期間ですけど、できるところまで持っていけたらと。持っていかないといけないと思います」
これまで出場した代表試合数は4。うち先発は1試合だけ。だから佐野自身は「自分も、ほとんど(代表で)試合に出れていないですし、本当に危機感しかない」と話す。そして今回の活動では「なるべく早く自分の武器を試合で出せるように、ということだけを考えてプレーしたい」と言った。
弟の航大と同時に招集されたことについては「しゃべったりはしていますけど、本当にイチ選手同士だと思いますし、自分のことで精一杯。自分のことだけを考えてやらないといけないと思いますし、航大もそれは同じように思っていると思う」ときっぱり。
最終予選で主軸を担ったボランチの守田英正と田中碧が不在の中で、何を見せられるか。ここでアピールできなければ、代表定着は難しくなるかもしれない。そのことは佐野自身も当然、理解しているはずだ。だからこそ「危機感しかない」と言うのだろう。
ワールドカップ本大会まで残り1年。文字通り代表での生き残りをかけた今回の活動で、佐野は巡ってきたチャンスを生かせるかーー。