サッカー日本代表の佐野海舟が28日、千葉県内で取材に応じ、自らの口で昨夏の事件について改めて謝罪した。「自分の行動によってたくさんの方々にご迷惑をかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」。佐野は6月シリーズで昨年のアジアカップ以来、代表に復帰する。

上写真=千葉県内で取材に応じた佐野海舟(写真◎サッカーマガジン)

周りの方にも矢印が向いてしまうこともあるが…

 昨年7月の不同意性交容疑による逮捕(のちに不起訴処分)により、一度は日本代表への道が閉ざされたかに見えた。しかし、森保一監督が6月シリーズのメンバーに選出。佐野海舟には再チャレンジの扉が開かれた。

 この日、佐野は自らの意思で会見を開き、事件以来初めて自分の口でファン・サポーター、関係者への謝罪を行った。

「昨年の自分の行動によってたくさんの方々にご迷惑をかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした。自分にできることを日々考えながら、サッカー面はプレー、行動、言動というもので自分が出せるものを出し続けていきたいと思いますし、プレー以外でも自分にできることを考えて、社会に貢献し続けたいと思っています」

 昨夏、鹿島アントラーズからドイツ・ブンデスリーガのマインツへ渡り、佐野は進化し続けた。2024ー25シーズンは、リーグ戦全34試合に先発出場。総走行距離はリーグ1位。デュエル勝利数でも上位に名を連ね、豊富な運動量とボールを奪い取る能力が世界水準であることを証明した。海外挑戦1年目にしていきなり結果を出したと言える。

 事件後は、代表復帰はもちろん、サッカーを続けられないことも考えたという。今、こうしてサッカーを続けられているのは様々な人たちの支えがあってのこと。佐野は改めて感謝の思いを語り、これからのプレーと行動で示していくしかないと繰り返した。

「自分が本当に覚悟を持っているということも(監督やコーチに)伝えましたし、やっぱり自分のせいで周りの方に迷惑をかけて、周りの方にも矢印が向いてしまうこともあるとは思いますが、でも自分ができることを考え続けて、自分はひたすら自分に矢印を向けてやり続けたいと思っています」

 代表のボランチは、競争がし烈だ。遠藤航は招集されているが、今回は守田英正と田中碧が不在。ピッチ面を考えれば、佐野自身の力を示す絶好のチャンスでもある。その点でも、佐野は覚悟を持っていた。

「自分の武器を(ピッチで)出さないといけないと思っていますし、自分はここで何もまだ残してないので、自分の武器をどんどん出していきながら、自分の存在っていうのを高めていけたらと思っています。(競争相手との)違いというものは日々、自分の課題を見つめながらやっていますし、それが今は出せなくても、それを出せるようにやっていきたい。今ここでそれを言っても出せなかったら意味がないと思うんで、そこはプレーで見せたいと思います」

 今回の活動には弟である佐野航大が初招集されている。弟の招集については聞かれると、「単純に嬉しいですし、でも自分が選ばれることによって、多少やっぱり弟という存在で、矢印が向けられることもあると思います」と複雑な思いを吐露した一方で、「ただ本当に兄弟というより、弟の実力で選ばれたと思うので、2人でも、ここからが本当に大事だねという話はしました」と語った。

 自ら招いた事とはいえ、厳しい道を歩んできたのは間違いない。そしてその道は、今後もしばらく続くことになるかもしれない。

 それでも佐野は日の丸を背負って戦うにふさわしい選手と証明するために、覚悟を持って進むしかない。まずは6月シリーズ。5日のオーストラリア戦、10日のインドネシア戦で、ドイツで磨いた自らの武器を示すことになる。


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