サッカー日本代表は17日、北中米ワールドカップ・アジア最終予選に向けて千葉県内でトレーニングを行った。トレーニングを鎌田大地が取材に応じ、クリスタル・パレスでの現状と、日本代表でプレーすることに対する心境の変化について語った。

上写真=代表に対する率直な思いを語った鎌田大地(写真は昨年9月/サッカーマガジン)

クリスタル・パレスで過ごす「難しい時期」

 昨夏、イタリアのラツィオからイングランドのクリスタル・パレスに移籍した鎌田大地だが、シーズンの序盤は先発する試合が多かったものの、徐々に途中出場が多くなっていった。

 その状況の変化は、チームが戦い方を変えたことが大きい。

「基本的に最近はチームの調子が良くて、勝っているので選手を変える必要がないのも一つだと思う。シーズン初めはボールをつなごうとしていましたけど、それで勝てなくてロングボールをよく使うチームになって。ロングスローも含めてセットプレーをすごく大事にしているので、セットプレーの得点もプレミアで今一番多いチームでもあるし、そういう部分でなかなか自分がやりたいサッカーにはなっていない。自分自身も今のサッカーをやっていて、他の選手のほうが優れている部分があると選手としても感じるので、難しい時期だなとは思います」

 ロングボール主体の戦い方になれば、中盤を省略すケースも増える。自然、中盤でプレーする鎌田は『省略される』場面が増え、求められるのは競り合いの強さやセカンドボールの回収力。攻撃にアクセントを加えるような得意とするプレーを出す機会は限られる。「難しい時期」というのもうなずける。

 ただ本人は「でも、いろいろ良い経験になっている部分もあるし、良くなっている部分もあると思う。しっかり頑張っていきたい」とも語り、「毎シーズン、自分がシーズン開幕前に思い描いていたようなものになることはないし、それは僕らの職業だけじゃなく、どの職業でも同じだと思うんですけど、いつチャンスが来るかもわからない。本当にそれが成功するかもわからないんですけど、今までの自分の経験上は難しい時期もしっかり自分を信じてやってきてここまでまで来れているので、しっかりやり続けることはすごく大事だと思う」と、自身の成長の糧にすると誓った。

 そうした前向きな姿勢が、前回予選時からこれまでの時間の中でさまざまなことを経験してきたの鎌田の成長と言えるのかもしれない。2022年3月に敵地で行われたオーストラリア戦は本大会行きを決める試合になったが、その重要な試合に鎌田は招集されていなかった。

「前回はチームにいられなかったんで、本当に代表チームにいられるのは当たり前のことじゃないし、しっかり今こういうところにいられていることに幸せを感じてやっていけたらとも思いますし、しっかりそういう大事な試合でチームに貢献できるようにやっていけたらと思います」

 代表に対する思いも変化してきたと鎌田は言った。

「前回のワールドカップが終わってからもよく言っていますけど、代表に対する気持ちの部分は自分なりに多少変わってきているし、自分の年齢も代表の中では上になってきて、チームのことも考えなければいけない年齢でもあるんで。上の人たちの代表に対する姿勢を見てきて、自分だけじゃなくてチームみんなで作り上げていくことが大事なのも理解しているし、本当に前回の最終予選ですごく苦労した部分もあるんで、しっかり代表のためにっていう気持ちをみんなで持ちながらできているのが、今の代表の良さでもあると思う。より大人になったっていう感じですね(笑)」

 鎌田自身が「上の人」の姿勢を受け継ぐべき立場になったということだろう。

「(長友)佑都くんを見ていたら…今は試合に出ていないですけど、みんなが代表にいる価値を感じさせてくれる選手の一人だと思うし、前回のワールドカップのときは(川島)永嗣さんがワールドカップに対する熱意を話してたりだとか、そういうのを聞いて、詳しくは言えないですけど、そういう部分を見て、やっぱり代表にいるのは当たり前じゃないんだなっていう。よくハセさん(長谷部誠)も言ってましたけど、こういうところでやれるのはもう特別なことだし、自分たちも毎回来ていると普通な感覚になっちゃいますけど、ここはみんなが目指すべき場所だし、自分たちも目指していた場所なんで、当たり前に感じないようにしています」

 苦しい時期を過ごし、キャリアを重ね改めて代表の重みを知った。鎌田自身の成長は、日本代表にとってポジティブなものであるに違いない。


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