上写真=圧巻のパフォーマンスを披露し、勝利に大きく貢献した鎌田大地(写真◎Getty Images)
守田との阿吽の呼吸
鎌田は2シャドーの一角を担い、クレバーなプレーで日本の勝利に大きく貢献してみせた。ボランチの守田英正とポジションと役割を入れ替えながら、ボールを循環させ、攻撃を活性化させた。
35分の先制点の場面も鎌田の動きが効いていた。GK鈴木彩艶から板倉滉、守田英正、堂安律とつながったボールを敵陣中央で引き取ると、いったん遠藤航へ戻す。そこから町田浩樹、守田と経由したボールを今度はボックス手前で受け取り、ボックス内へ進入。鋭いクロスを小川航基に送り、ハブナーのオウンゴールを誘発した。鎌田の優れた戦術眼と高いスキルが光ったシーンだった。
「(最終ラインが)5枚で、5-4でブロックを組んでくる相手に対して、焦れずにうまくパスを続けるのが大事だとわかっていたし、バーレーン戦もそうでしたけど、1点入れば状況が変わるのを理解していた。自分たちが狙ってたことができたと思うし、チームとしてちゃんと狙っていたことを共有できたので良かった」
日本らしいパスワークで先制点を奪ったあと、チームの攻撃は加速していく。鎌田はその中心となった。南野拓実が決めた日本の2点目にも絡んでみせる。抜群のタイミングで相手最終ラインの裏に飛び出す三笘薫にスルーパスを通し、『アシストをアシスト』した。
「パスは若干ずれましたけど、前向きでもらうと薫は動き出しがうまいんで。バーレーン戦もああやって点を取れたし、今日も、というか、いつも2人の関係性で狙えているところではあると思う。これからも続けていけたらいいかなと」
鎌田の効き目抜群のプレーが頻出したこともあって、日本はインドネシアに快勝し、2位のオーストラリアに勝ち点7差をつけて首位独走状態に入った。ただ、本人はこう言って気を引き締めた。
「本当に順調にいっていますけど、勝つのは当たり前じゃないし、最終予選の難しさは自分たちが一番理解している。(今後も)しっかり相手にリスペクトを持って、勝ち点3だけを狙っていけたらいい」
79分に旗手怜央に代わってピッチを退いた。日本のシャドーは人材が豊富で、この日だけを見ても、鎌田のほか、南野、三笘、旗手、伊東純也がプレーし、さらに久保建英や堂安もいる。文字通りの多士済々だが、その中にあっても、守田との阿吽の呼吸や周囲を生かすプレーで鎌田は他の選手にはない特長を持つ。日本を首位独走を導いた一人であるのは間違いないだろう。
取材◎佐藤景(現地)