上写真=3日、日本代表のトレーニングでランニングをする田中碧(写真◎サッカーマガジン)
すごく楽しいし、ワクワクしている
田中は今夏、フォルトゥナ・デュッセルドルフ(ドイツ2部)からEFLチャンピオンシップ(イングランド2部)のリーズに移籍した。リーズが加入を発表したのは移籍期限最終日の8月30日だった。
契約期間は2028年6月30日までの4年間で、背番号は「22」。加入が発表された翌日31日に行われた4節のハル・シティ戦で86分から出場し、すでにホームのサポーターへのお披露目を終えた。
日本代表に合流した田中は3日の練習後、取材に応じ、移籍が期限ギリギリになった経緯を明かした。
「最終的にあのタイミングだっただけでずっと前から(話は)あったんで。シーズン前に決められたら、自分が行きたいっていうところに決めたかったけど、サッカーとかその監督とか、下位争いするようなところに行ったときに自分が輝けるのかとか、いろいろと考えた中で、いいなと思うのがなくて。最後の最後に、一番いいのを選べばいいかなと思って。そこまでは自分が決めなかったって感じです」
移籍の希望を持ちながら、そのチームのスタイルや自身が出場できるかどうかなど、しっかり新天地を選定していたという。果たしてリーズを選んだ理由は何だったのか。
「もちろん5大リーグの1部に行きたかったんですけど、いろいろ全部を比べて、いろんな監督と話して、やっぱりどういうサッカーをするのかが自分の中ですごくキーで。リーズはやっぱりイングランド(のチーム)で、そこで普通に上に行ければ、プレミアリーグに行けるんで。そこは一番可能性があるし、そういう意味では、リーズでよかったかなと思います。サッカーも含めて」
いずれ世界最高峰と言われるプレミアリーグでプレーすることも見据えた選択だった。そして何より、リーズは自分の特徴を発揮しやすいと思ったという。
「2列目にすごく強烈な選手いっぱいいて、(日本)代表っぽいサッカーをする。繋ぎになっているボランチの選手は結構守備的な選手が多いんで、ゲームを作ることだったり、前に出ていくところだったり、そういうのを求められる。その意味で自分がやっていることと求められることがすごく合致するし、ボールを保持する時間も長いんで、やっていて楽しいです」
パスで攻撃を組み立て、ダイナミックな攻め上がりでゴールに絡んでいくプレーは田中の持ち味。実際にプレーした時間は短いが、リーズなら自分を生かせると感じた。「(選手が)いてほしいところにいるし、パス出したいところにいるので、そこはすごくワクワクしています」。
自らの課題と感じている強度も、チャンピオンシップでプレーすることで向上させ、いずれチームとともにプレミアリーグで戦うことをイメージしている。すでに代表モードに頭は切り替わっているが、中国戦、バーレーン戦できっちり勝ち点6を積み、その勢いを駆ってリーズに戻り、激しいポジション争いに挑むつもりだ。
田中が代表で存在感を強めたのは、前回の最終予選だった。1勝2敗と苦しいスタートとなった中、4試合目のオーストラリア戦に先発すると、4−3−3システムを採用したチームの中で躍動。自らゴールも決めて勝利に大きく貢献した。以降、ポゼッションを安定させるとともに、推進力を生む選手として主軸の一人になっていった。
ただ今回の予選は、前回のような苦しいスタートにならないようにしたいと言う。そのために「ホームとアウェーはそんなに関係ないと思うんで、勝つことだけに全員でフォーカスしていければいい」。初戦もあくまで予選10試合のうちの一つ。一戦一戦、集中して戦うことが予選突破のために大切だと田中は強調した。
目指すのは代表で好結果を出し、クラブに戻って充実の時を過ごすこと。それを繰り返した先には、田中自身も日本代表も大きく成長した未来がある。