全10試合のカタール・ワールドカップアジア地区最終予選も、いよいよ後半戦に入る。アウェーの第6戦で戦う相手は、初戦で敗れたオマーンだ。リベンジへの炎を燃やす選手たちだが、冨安健洋は初戦は欠場。だからこそ冷静に、オマーン突破法を見据えている。

上写真=冨安健洋は初戦のオマーン戦を移籍交渉で欠場。その甲斐あってアーセナルに加わり、大きく成長している(写真◎JFA)

「たまたま負けたわけではない」

 日本代表が挑むリベンジマッチ。カタール・ワールドカップアジア地区最終予選の初戦で敗れたオマーンに、借りを返すときがやって来た。

 ただ、冨安健洋には余計な力が入っていない。9月2日のそのゲームは、ボローニャ(イタリア)からアーセナル(イングランド)への移籍交渉のために合流していなかった。だから、むしろ冷静にフラットに状況を俯瞰できる。

「あとから試合を見させてもらいましたけど、たまたま負けたわけではないと感じましたし、オマーンがしっかりと準備してきて戦術が浸透しきっているという感覚は受けました」

 日本対策をまざまざとはめられて、いきなりの0-1スタート。ようやく3勝2敗と少し持ち直したものの、安心できるいまではないのはあの黒星が始まりだった。

「今回も簡単な試合にはならないと思いますし、難しい局面が出てくるでしょうけど、後ろはゼロで抑えることでチームを安定させられることができるように、僕はセンターバックなのでそこを求めてやりたいと思います」

 オーストラリア戦、ベトナム戦と4-3-3の並びに変えて2連勝。だが、まだまだ課題は多い。十分な練習の時間を取れないからだが、オマーンは前回対戦で中央に人数をかけてギュッと締めてきた。どう攻略するのか。

「うまくサイドバックを使いながら」が、冨安が考える第一の突破法だ。

「予想でしかないけれど、サイドバックのところで時間ができるので、そこにどう渡してどう崩していくのかがキーになってくると思います」

 前回対戦では中央が堅い代わりに、サイドにはスペースがあった。サイドバックがうまく振る舞えば、そのエリアを攻略できるという算段だ。

「ベトナム戦でもサイドチェンジがなかなかくて、サイドバックに寄せて中盤を経由して逆のバイタルに持っていくのは足りなかったところです。サイドバックからサイドバックへ一発のサイドチェンジもありえますし、そこのところはキーになってくると思う」

 片方のサイドで作りながら、もう一度同じサイドを突破していくのは攻略法の一つ。だが、素早いサイドチェンジで相手を揺さぶることでスキが生まれると見ている。

 もう一つはセットプレーなのだが、まず冨安が指摘したのが、CKやFKではなく、スローインのこと。

「セットプレーという意味で言えば、スローインでボールロストが多すぎると思います。現代サッカーではスローインもセットプレーの一つで、アーセナルでも練習しています。スローインから逆サイドに持っていくことができれば、そこからチャンスを生むことができるので、スローインも話し合って練習できるならやったほうがいいと思います」

 見過ごされがちだが、プレミアリーグではスローインの重要性が強く認識されている。その注意深さをこのチームにも意識させるつもりだ。

 オマーンに敗れた初戦でいなかった冨安が、そこにいる。それだけで日本にとっては大きなアドバンテージである。


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