上写真=0-1でサウジアラビアに敗れ、日本は勝ち点を積み上げることができなかった(写真◎Getty Images)
2敗まではできると考えていかないと
右サイドで原口元気からのボールを拾った柴崎岳は、相手のプレッシャー受けたために、バックパスを選択した。その判断自体は何ら問題はなかったが、パスはサポートに来ていた吉田麻也から大きくズレてしまう。そのボールを拾われて、失点。70分に大一番でやってはいけないミスが起きた。
試合後、吉田キャプテンは柴崎にどんな声をかけたのかを問われ、答えている。
「盛り返せるぞと話しました。僕もミスをする選手だったので気持ちは分かるし、本人も非常に責任を感じていると思いますが、大事なのはこのミスからどう立ち上がるか。サッカーはミスが起こるスポーツで、(残り)7試合で岳自身が個人としてチームにもう1度、貢献できるかどうか。チームとして踏ん張って巻き返せるかが、試されている」
この試合、ボールの獲りどころとしてパスの経由地になる柴崎は相手に狙われていた。50分にもピッチ中央でロストしてシュートまで持ち込まれている。GK権田修一が好守で防いだものの、大きなピンチを招くことになった。
「前にチャレンジしてボールを失うのと、横パスや後ろへのパスがミスになるのはピンチを招く確率が全然違う。失い方があのシーンだけじゃなく良くなかったと後半はとくに感じていました」
吉田も指摘するように、後半はミスが頻発し、敗れることになった。だが、終わった試合の結果を変えることはできない。予選はまだ続く。問われるのは次戦以降、どう戦っていくか。
「僕自身も代表でもチームでもミスをしてきました。時にはチームに迷惑を掛けることもあったし、救うこともあった。それもサッカー。ただ、それを繰り返せば自分のポジションを失う。代表はそういう場所。ここから学ばないといけないし、ミスを繰り返してはいけない。早く切り替えること。良いチームというのはここから盛り返せるチームのことだと思う」
次戦は中4日で予選3連勝中のオーストラリアと対戦する。ここで負けるようなことがあると勝ち点差は9となり、グループの2位以内でW杯に出場するのはいっそう難しくなる。吉田は言った。
「前回(のアジア最終予選)も2敗はしている。2敗目は予選突破を決めた後でしたが、2敗まではできるとポジティブに考えてやっていかないと」
現在3位の日本よりも上位にいる1位オーストラリアとは2試合、2位サウジアラビアとは1試合、現時点で直接対決を残している。楽観できる状況ではないが、絶望する状況でもない。「監督やダイレクターは結果が出ないといつ首が飛んでもおかしくないものですが、選手は契約に守られているところもある。ただ代表チームに関してはそういうものはないし、監督が替われば、組織も変わり、選手も替わる。それは代表でもチームでも起こり得ることで、もしも予選敗退してチームの活動が終わることになれば、おそらくガラッと入れ替わる。自分自身もそこが区切り。そんな不甲斐ない結果になったら、すっぱり辞めようと思っています」。そうならないために、覚悟を持って臨むとキャプテンは話した。
代表チームの周囲にネガティブな空気が漂い始めている今、12日のオーストラリア戦は勝利がマストだ。そのことは吉田自身が一番、感じている。試合直後に「終わったときにジャッジしてもらえればいいと思います」との言葉も発した。「1位で行っても2位で行ってもW杯はW杯。2敗はしましたが、前回も2敗はしているし、まだ7試合ある。僕らは巻き返さないといけないけれど、オーストラリアやサウジも追われる立場として、プレッシャーは常にあると思うし、可能性がゼロになったわけではなく、まだまだ巻き返せるチャンスはあるので。W杯本戦と予選は別ものですが、そのためには予選を通らないといけない。そこがいま僕らが直面している問題で、しっかり向き合って結果を1個1個つかみ取っていく」。
最終予選は残り7戦。12日のオーストラリアとの直接対決は文字通り、運命の一戦になる。