9月2日、カタール・ワールドカップのアジア地区最終予選で日本はオマーンをホームに迎えた。まさかの0-1というスコアでの敗戦は、チャンスそのものも少ない凡戦に。その中で、27分に絶好機を作ったのが伊東純也。裏に抜け出すランニングを繰り返すことで穴を開けた。

上写真=伊東純也は背後へのランニングを繰り返し、引いて守る相手を突き崩す一瞬を狙った(写真◎JMPA早浪章弘)

■2021年9月2日 ワールドカップ最終予選第1戦(@大阪・吹田/観衆4,853人)
日本 0-1 オマーン
得点者:(オ)アルサビ

「誰かがやらなければいけない」

 引いた相手をどう攻め崩すか。

 ワールドカップ予選のたびに問いかけられるこの難題が、また日本を襲った。9月2日のワールドカップ最終予選の初戦で、日本はオマーンの堅い守備を崩せず、一瞬のスキを突かれて88分に失点。迫力のないままにこのまま0-1で敗れる結果になった。

 黒星スタートは前回大会の最終予選と同じで、それは避けなければいけないと選手たちは口々に話していた。しかし、攻め抜くことができずに、同じ過ちを繰り返すことになった。

「ボールを握ったけれど、効果的な攻撃ができなかった」

 伊東純也のこの言葉に尽きるだろう。中央を固められた相手にサイドから攻略しようと試みたが、成功しなかった。

「サイドバックがフリーだったから、もう少しポジションを高くしてシンプルに絞ってからクロスでも良かったと思います。前半からそういうことを話していて、後半も高い位置を取ろうと話したけどうまくいきませんでした」

 数少ない決定機の一つが、28分だった。最終ライン左で吉田麻也が持ったときに相手がゆっくりラインを上げると、右サイドの裏のスペースに伊東が走り出し、吉田からぴたりとロングパスが届く。

「引いた相手の裏を狙うのは難しいですけど、相手の脅威になるところは背後のスペースです。そこにランニングしてもらう意識を合わせていければいいと思います」

 低く構えるようにして相手に裏のスペースを埋められてしまうと入っていけない、という先入観を、伊東のしつこい走りが破ってみせたのだ。相手に囲まれながら絶妙なトラップから放ったシュートはGKにブロックされて得点にならなかったが、常識という名の思い込みを突き崩す裏抜けだった。

 この敗戦によって、これからの対戦相手に日本封じの策が明らかになってしまった。それでも、伊東は初めてのワールドカップ最終予選で「誰かやらなければいけないので自分が背後を狙う動きをして、麻也くんからいいボールが来た」と成功体験を得た。それを常識破りの自信に変えて、次の敵、中国を倒す。


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