上写真=緊迫の最終予選を前に、遠藤航もまずはリラックスして仲間とコミュニケーション(写真◎早浪章弘)
「オリンピックはオリンピック」
「初戦だしホームだし、勝たなければいけないと思っています。まずは自分たちのサッカーを見せたい」
遠藤航がカタール・ワールドカップアジア地区最終予選に向けて、心身を整えている。その言葉のとおりに、ホームの初戦で日本の戦い方の方向性を示すつもりだ。
ただ、最終予選は長く、どこで何が起こるかわからない。そのときにどう振る舞うかが大事だと、遠藤は考えている。まず大事なのは、自分たちの戦い方。
「自分たちはボールを持って進めていきたいので、奪われたあとの切り替えやカウンターへのケアは最終予選を戦う上でキーになるのは大前提」
それができないときにどうするか?
「同じようにボールを動かしてくる相手に対して、自分たちが持てていないからダメだとならないことが大事です」
二の矢、三の矢を準備しておいて、いつでも切り替えられるようにしておかなければならない、という意志だ。
「例えば、サウジアラビアはボールを持ってくると思うけれど、そこで自分たちがブロックを敷いてカウンターを狙うというような戦い方のシチュエーションは、自分の中で想定しています」
もう一つ、例に挙げたのは、自らもプレーした東京オリンピックのゲーム。準決勝のスペイン戦だ。
「ワールドカップやオリンピックのスペイン戦もそうでしたけれど、自分たちがボールを持てない中でカウンター一本でチャンスを取るという戦いは、レベルが上がれば上がるほどあるわけです。最終予選でも絶対に自分たちがボールを持ってやらなければいけないということはないと思うし、相手にしっかり持たせてブロックを敷いて賢く守りながら、自分たちがカウンターを取るゲームプランを持ってもいいと思っています。いろいろな考えがあると思いますよ」
大事なのは考え方、というわけだ。もちろん、ベースになる戦いをしっかりと持ちながらも、それができなければ失敗、というような凝り固まった思考はチームに必要ない。
そのオリンピックはオーバーエイジとして加わって、金メダル獲得が目標と公言しながらも、準決勝、3位決定戦に敗れて、4位に終わった。
「悔しさはあるのでそれは忘れないようにしなければいけないけれど、それをA代表に生かしていこうというような気持ちはあまりないですかね。オリンピックはオリンピック。いったん区切りです。ただ、リオのときから比べれば成長していると思うのでネガティブではなく、そういう区切りとして考えています」
成長の実感は、前回大会の最終予選との比較からも感じ取ることができる。当時はアウェーのイラク戦に出場している。
「前回の最終予選は、A代表に入ってとにかくついていくだけ、という感じでした。それに比べたらいまの自分の立場はまったく違うと思っていますし、いまいろいろ考えながら最終予選に臨めていること自体がプラスだと思います」
2022年に向けたチームの絶対的中心として、遠藤が新たな戦いを始める。