なでしこジャパンのAFC女子アジアカップはベスト4止まり。植木理子が2月3日の準決勝で中国から2点を奪いながらPK戦の末に敗れ、悔しさを隠しきれなかった。それでも、忘れられない大会になっただろう。計5ゴールを集めてチーム得点王になったのだ。

上写真=植木理子は今大会5ゴールを挙げて大きな力になった(写真◎AFC)

■2022年2月3日 女子アジア杯準決勝(インド・プネー/無観客)
中国女子 2-2(PK4-3)日本女子
得点者:(中)ウー・チャンシュー、ワン・シャンシャン
    (日)植木理子2

「触るだけのいいクロスでした」

 植木理子は今回の女子アジアカップで5つのゴールを決めた。しかし、韓国戦に続いて最後の2つは勝利に結びつかなかった。

 中国との準決勝。まず26分に、長野風花が左に展開して、走り込んだ宮澤ひなたがダイレクトでニアにスピードボールを流し込むと、植木がゴールエリアの左角付近に飛び込んでバックヘッド気味に流し込んだ。

「ひなたにボールが入った時点で、自分の良さは中で競り勝つところなので走ったら、触るだけのいいクロスでした」

 後半開始直後に追いつかれる嫌な流れを断ち切ったのも、植木のヘッドだった。延長戦にもつれ込んだあとの103分、長谷川唯がFKをペナルティースポットあたりに落とすと、相手と駆け引きしながら右から思い切りよく走り込んでダイビングヘッド。ゴール左に突き刺して、またもリードを奪った。

「膠着した試合でセットプレーは重要なので、思い切って中央に走ったところにいいボールが来ました。自分ではオフサイドだと思ったんですけど、VARがあったおかげで認められてよかった」

 どちらもスペースに飛び込んでダイナミックにヘッドで決める、というパターンだ。代表初ゴールとなった今大会最初のゴールも、右の長谷川からのクロスに思い切りよく突っ込んでダイブしてヘッドでたたき込んだものだった。持ち味を思う存分に出し切った証拠としてのゴールだった。

 それでも勝てなかった。延長戦終了間際にエアポケットができて、またもや同点弾を押し込まれてしまった。112分にピッチをあとにしていた植木には、どうすることもできなかった。

 ただ、もっと早くに試合を決めることもはできた。

「個人としては、自分のゴールでチームを勝たせたい気持ちはずっとあるので、それがゴールという形になったのはよかったと思います、でも、まだたくさんチャンスあって決めきれていれば違う形になりました」

 4分には中央で岩渕真奈が粘って右につないだボールに合わせて右足を振ったが、シュートは枠の外へ。32分に右で相手と対峙した清水梨紗がうまくファーに送ると、右足のボレーで狙ったがわずか左へ。75分に右深くからの長谷川のマイナスの戻しをダイレクトで狙ったが、左に切れた。98分には右の長野風花からの横パスを受けて巧みなターンから放ったシュートは右へ。105+2分、右CKから強烈に見舞ったヘディングシュートはGKのファインセーブに阻まれた。決めた2つのゴールより、外した苦々しさが残る。

「なでしこジャパンとして大きな国際大会を戦うのは初めてだったので、気合が入っていましたし、結果を残してやるという気持ちを持っていました。個人としてはゴールを決められたことは自信につながります。でも、チームを勝たせるゴールを決めていません。今日で言えば、後半にシュートチャンスがあったし、決めていれば延長戦やPK戦になりませんでした。まだまだ自分の未熟さを痛感した大会でした」

 この大会でなでしこジャパンの最初のゴールと最後のゴールが、植木によるもの。植木に始まり植木に終わったこの大会は、5つのゴールという結果はもちろん、力のなさを骨身に染みて感じたことで、いつか背番号19のストライカーにとって大きな転換期になったと振り返られることだろう。


This article is a sponsored article by
''.