上写真=「10」を背負って初めての試合で、岩渕真奈はPKでの1ゴールという結果をしっかり残した(写真◎JMPA早浪章弘)
■2021年7月14日 国際親善試合(@サンガS/観衆2,584人)
日本女子 1-0 オーストラリア女子
得点者:(日)岩渕真奈
「たくさん言われて少しずつ意識しちゃってた」
「勝てたので、結果だけ見たら良かったと思います」
ということは、内容は不満だったのだ。FW岩渕真奈が東京オリンピック前の最後のテストマッチで、多くの課題を見つけた。
勝つには勝った。長谷川唯の左からのクロスが相手の手に当たってハンドの判定。これで得たPKを岩渕が落ち着いてゴール左スミにきれいに転がした。誰が蹴るのか決まってはいなかったというが、「ちょっと蹴りたいなと思ってたら、唯がブチさんと言ってきたので蹴りました」という54分のこの一発が、この試合唯一のゴールだった。
不満だったのは、攻撃についてだ。
「1-0で勝てて良かったけれど、そこまですべてが良かったかと言われたらそうではないので、もう少し攻撃のバリエーションを増やしていきたいと思います」
相手の3-4-3のシステムは分析どおりで、攻略法もしっかりと共有して臨んでいた。
「3-4-3で来る想定をしていた中で、自分のところがぽっかり空くのは分析でわかっていました。でも空いたシーンもあればうまくやられたとも感じていて、攻撃が淡白になってしまったと思っています。多くの選手が絡んでゴールに迫れるシーンはそんなになかったから、回数を増やさなければ」
岩渕が相手の最終ラインと中盤の間で受けることはできたが、その先に微調整を加える必要性を感じたという。
「3と4の間にスペースができて、そこに立って受けられるシーンはあったんですけど、距離感が遠くて。攻撃に人数をかけてボランチがペナルティーエリアの外あたりで回していても、いい距離ならくさびのパスも刺せるし、そのときに唯とか(塩越)柚歩が絡んでいけるのが日本の良さなので、自分も運動量を上げながら、全員が絡む意識を持たなければいけないと思います」
それでも、開幕戦まで1週間というタイミングでオーストラリアという強くて速い相手と戦ったことは「ポジティブだった」と位置づけている。背番号10を託されて臨んだ最初のゲームでもあったが、そこは意識しないわけにはいかなかった。
「特別な番号であることは間違いので、意識しないようにという意識をしていて、でもたくさん言われて少しずつ意識しちゃってたんですけど、PKを蹴らせてくれて感謝していますし、決めることができて、自分自身のプレーには満足していないけれど、結果に関してはいいスタートが切れたのかなと思います」
日本の新しいナンバー10として、まずは確かな一歩を刻んだ。