上写真=勝利の瞬間、歓喜の輪ができあがる。スコルジャ監督は一体感を勝因に上げた(写真◎J.LEAGUE)
■2023年10月15日 JリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦(@埼玉/観衆29,504人)
浦和 2-0 横浜FM
得点:(浦)アレクサンダー・ショルツ2
※1勝1敗で、得失点差で浦和が決勝進出
チームスピリットの勝利
J1リーグでは2位の横浜F・マリノスと、勝ち点4差で3位の浦和レッズ。ともにAFCチャンピオンズリーグも並行して戦い、JリーグYBCルヴァンカップでは準決勝第1戦で横浜FMが1-0で勝利、続くこの第2戦ではホームの浦和が2点差以上で勝つことが求められているだけに、試合が面白くならないはずがない。
どちらも遠慮なく攻め合った。15分、酒井宏樹の出場停止で右サイドバックに入った関根貴大のサイドチェンジから、荻原拓也がクロス、ホセ・カンテが中央で収めて右に流したところで待ち構えていた早川隼平が蹴り込むが、VARチェックの結果、オフサイド。だが、このプレーで一気にスイッチが入った。
20分には小泉佳穂が中央で運び出し、引き取った好調のカンテがターンして左足で狙えば、横浜FMも22分に永戸勝也が自慢の左足でパワーショットを見舞うが、惜しくもバーへ。38分にも、左からの大きなサイドチェンジを水沼宏太が短く中へ、西村拓真が強烈に狙うが、GK西川周作がファインセーブ。どちらも攻めの手を緩めるつもりなどなかった。
とにかく勝たなければ大会を去ることになる浦和が、後半にさらに攻勢に出るのは当然のこと。高橋利樹を中央に配し、2列目の右に小泉、左に早川と立ち位置を調整することで、横浜FMの守備に混乱をもたらした。すると61分、左からの荻原のクロスをGK一森純が弾いたボールに突っ込んだ早川が後ろから押し倒されてPKを獲得。これをアレクサンダー・ショルツが冷静に右に決めて、ついに63分に先制した。
これで攻め合いのスペクタクルはさらに密度が高まった。70分に横浜FMがヤン・マテウスを投入して右からのアタックをリフレッシュすると、浦和も大久保智明、興梠慎三を投入して、攻撃をパワーアップ。浦和がチャンスを作り続け、横浜FMが数は少ないもののカウンターを打ち込む展開で、スタジアムのボルテージはどんどん上がっていった。
試合を決めたのは、またしてもPKだった。浦和が左から荻原が上げたクロスが横浜FMの實藤友紀の左手に当たり、VARチェックから主審がオンフィールドレビューを行った結果、PKの判定に。90+1分、これをまたもショルツが左ポストに当てながら決めて、ついに決勝進出の条件である2点のリードを奪った。
横浜FMも猛攻で1点を狙いに出て、90+2分には宮市亮が強烈なミドルシュートを放つが、西川が左に飛んで弾き出すビッグセーブ。1分後にも植中がクロスのこぼれ球に足を伸ばすが、シュートはわずか右。
第1戦、第2戦の3ゴールがすべてPKで生まれた緊迫の準決勝は、1勝1敗。浦和が得失点差で上回り、2016年以来の決勝進出を決めた。
横浜FMのケヴィン・マスカット監督は浦和のパワーを受けたことを静かに振り返った。
「前半はコントロールできてボールを握ることも多かったが、後半はプレッシャーが激しくなって前方向に行くことができなかった」
浦和のマチェイ・スコルジャ監督が対象的に、言葉も弾む。
「本当にいい試合でした。勝ちたいと思う2チームが、攻撃的にプレーして、お互いにチャンスを作りました。その中で我々がなぜ決勝に進めたかというと、チームスピリット、チームプレーを高いレベルで表現できたからです」
チームの充実感をストレートに表現したが、「立ち上がりから高い強度を出して、それを90分続けよう」という狙いを明かしている。「一人ひとりがベストを尽くしてハイプレスかけてくれて、しっかりと相手に寄せてフリーでプレーさせない狙いを出せました」と、チームスピリットと戦術が両輪で回った素晴らしい勝利をたたえていた。
▶その他の結果
■2023年10月15日 JリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦(@豊田ス/観衆24,876人)
名古屋 0-1 福岡
得点:(福)ウェリントン
※福岡が2勝で決勝進出