上写真=表彰台から下りてくる高山。右手には聖杯が握られている
写真◎福地和男
「みんなのおかげで表彰台に立てた」
十数分を残し、背番号23がピッチに送り込まれた。チーム在籍7年目。いまや湘南の顔とも呼べる存在となっている高山薫が交代で投入されると、湘南サポーターからひと際大きな歓声が上がった。
「決勝トーナメントに入ってから、なかなかスタメンで出れていなかった」と言うように、高山はこの日もベンチスタート。決勝へと勝ち進むチームのなかで、先発で出られないもどかしさも感じていた。だが、この日の感情はいつもとは異なる。「いつもだったら、スタメンで出られなかった悔しさもあると思うんですけれど、(今日は)優勝したうれしさのほうが勝った。素直にうれしい」と、満面の笑みを浮かべた。
試合が終わり、湘南イレブンの先陣を切って、表彰台へと上がっていく。「梅さん(梅崎司)とか、カズ(大野和成)とか、山根(視来)とかが、キャプテンマークをつけて先頭でいきな、みたいな感じで言ってくれた」。チームメイトに背中を押され、クラブ史上初めて、ルヴァンカップの“聖杯”(トロフィー)を握った。
「(トロフィーは)重かったですね。予想通りって感じでした。(トロフィーを掲げるときは)みんなもカップ(優勝)慣れしていないから、全然タイミングを分からなくて(笑)」
初めての表彰台では戸惑いもあったようだが、頂点の味を噛みしめるのは、一度では物足りない。
「(今回は)みんなのおかげで(表彰台に)立たせてもらったという感覚が大きい。自分がもっと試合に出ていたら、また違ったんでしょうけどね。だから、次はもっとしっかり(試合に)出て、(表彰台に)上がりたい」
湘南をけん引する高山は、また新たなタイトルを狙っていく。
取材◎小林康幸 写真◎福地和男、近藤俊哉