上写真=山本は76分、パス交換から右足でニアサイドを抜くシュートを決めて1-1とする(写真◎石倉利英)
■2023年12月2日 J3リーグ第38節(@Axis:観衆2,844人)
鳥取 1-1 鹿児島
得点:(鳥)普光院誠
(鹿)山本駿亮
「日頃から一生懸命、練習していた賜物」
56分に失点して0-1で迎えた75分、山本はMF端戸仁との交代でピッチへ。「失点していたので、まずは同点にもっていきたい思いが頭にあった」と語る一方で、「点を取ることを意識しながらも、連続で失点するのは良くないので、まず守備から入った」との思いもあったという。
守備を意識していたが、出場直後の76分に訪れた最初のチャンスを物にした。FW米澤令衣からパスを受けると、FW鈴木将大とのパス交換で敵陣を破り、右足でニアサイドに蹴り込む。そのままダッシュしてゴール裏の看板を飛び越え、スタンドのファン・サポーターの元に駆け寄ると、ピッチ内やベンチにいたチームメイトも駆け寄り、殊勲のヒーローを祝福した。
「令衣さんもいたし、翔大さんもいて、誰に出しても、もう一度帰ってくるだろうというイメージでパスを受けて、冷静に流し込めた」という。2位を争っていたカターレ富山が2-1で勝利したため、鹿児島は敗れていれば3位に転落してJ2昇格を逃していただけに、まさに値千金の同点ゴールだった。
高川学園高(山口)、徳山大を経て2021年に鹿児島に加入。3年目の今季はメンバー外となった時期もあり、この日の結果を含めてリーグ戦出場は38試合中21試合、2得点だった。「1年間を通して良いパフォーマンスができたかと言われると、そうではないと思う」との自己評価だが、「ただ、この大一番で自分が決められたことは、すごくうれしい」と喜びのコメント。さらに「最後に翔大さんが(パスを)落としてくれましたが、ああいうふうに、みんなが信じてパスを出してくれたのは、日頃から一生懸命、練習していた賜物かなと思う。本当によかったです」とかみ締めるように語った・
大島康明監督も「ゲームチェンジャーの選手たちが勝ち点を持ってくる活躍をしたのは、チームで勝ち取ったもの。山本は試合に出られない時期、苦しい時期でもブレることなく、やり続けたことが、最後の最後でチームを救う得点になった」と評価。報道陣から「支えてくれたものは何か」と質問された山本は「まずは鳥取まで駆けつけてくれたファン・サポーターの皆さん。鹿児島でもDAZNを通して応援してくださる方が、たくさんいたと思います。そういう方々に日頃から温かいメッセージをいただいていたし、そのおかげで、ここまでくじけることなくやってくることができたので、よかったです」と感謝の言葉を述べた。
取材・写真◎石倉利英