上写真=インサイドハーフとして先発し、決勝点をあげた山本桜大(写真◎J.LEAGUE)
■2026年8月8日 J2開幕戦(観衆12,217人@NACK5)
大宮 1−0 新潟
得点:(大)山本桜大
インサイドハーフの山本&豊川が躍動
J2リーグ開幕戦で、RB大宮アルディージャはホームNACK5スタジアムにアルビレックス新潟を迎えた。スタンドは満員に埋まり、新シーズンの始まりにムードは最高潮に盛り上がっていた。
今季の大宮はスペイン人のナルシス・ペラッチ・ナダル監督を迎えてアグレッシブかつ攻撃的なサッカーを期待されていた。というのも、先週に行なわれた同じ埼玉のJ1クラブ、浦和レッズとのプレシーズンマッチにおいて、新監督が選手に求めるプレーの輪郭が明らかになっていたからだ。
その浦和戦でナダル監督は中盤のセンター、アンカーに加藤玄を置き、前方のインサイドハーフには山本桜大と豊川雄太を配した。前線は右にカプリーニ、左に泉柊椰と両サイドにはこれまでも主力だった2人を並べ、センターフォワードには今夏、ジェフユナイテッド千葉から獲得したブラジル人のカルリーニョス・ジュニオを起用した。後ろは4バックで、基本的に4-3―3だが、インサイドハーフに起用された山本と豊川は本来FWの選手で、前線には5人のアタッカーが揃う攻撃的な布陣だった。
当然ながら守備面を不安視されたが、試合は監督の狙いどおりに進んだ。11分に豊川の左からのクロスをカルリーニョスがヘッドで決めて先制。その3分後にミスから追いつかれたが、直後に山本からのパスを浮けた泉が左からカットインして右足を振り抜く得意の形でゴールを奪った。
その後は押し込まれる場面もあったが、カウンターから決定的なチャンスも生み出した。結局、そのチャンスを決めきれずに試合終了間際に追いつかれて勝利は逃した。ナダル監督は後半のビッグチャンスにマギージェラニー蓮がイージーなシュートを外したことに言及して「マギーが決めていれば、3―1で勝っていた」と悔しがった。
引き分けに終わったものの、J1クラブ相手に多くのチャンスを作り出した攻撃陣は新シーズンのJ2で、さらなる爆発を予感させた。
そんな見込みもある中、迎えた開幕戦。開始5分に自陣でボールを受けたカプリーニがドリブルで持ち上がり、バイタルエリアにかかると前方へ、スルーパス。これを中央からダイアゴナルに走り込んだ山本がダイレクトで蹴り込み、先制ゴールとした。
やはり今季の大宮の攻撃力は迫力があると感じさせるスタートだった。その後も優勢に試合を進めて次々とチャンスを作り出していった。
ところが追加点だけが奪えない。 前半だけで14本のシュートを放ったものの、枠内に飛んだのは先制点の1本だけと精度を欠いた。
後半に入ると新潟も守備の陣形を整え、船越優蔵監督が「中盤で奪っても即時奪回されていた点を改善した」と説明したように、大宮は中盤の争いで優位に立てなくなり、攻撃の回数が減っていく。その上、前半と同じようにチャンスを作っても決定力を欠き、結局、1-0のまま試合は終了。勝ち点3を確保したのは収穫だが、「前半のうちに2点目を奪わなければならなかった。そうでないと、後半のように難しいゲームになる」とナダル監督は振り返った。
攻撃的な選手を並べることで不安視された守備の面については山本、豊川が豊富な運動量で献身的なプレーを見せ、目途が立った印象を受けた。中でも山本は必要な時にはよく戻って相手の攻撃の芽を摘むプレーが光っていた。先制ゴールを決めるなど攻守に躍動し、このポジションで存在感を示したと言っていい。ナダル監督も「山本は素晴らしいパフォーマンスでチーム1と言っていいほど(の出来だった)。デュエルで戦ってボールを奪い返すこともできていた」と新しい役割について評価した。
ただし山本は62分に負傷で交代を余儀なくされ、豊川も後半途中でベンチに合図を送り、交代を求めた。だが指揮官は敢えて81分までプレーを続行させている。それは2人の運動量がこのシステムの生命線であることを示していた。今後、特に暑さの厳しいうちには彼らのバックアップをどうするか、という問題が生じるかもしれない。
アタッカーを5人並べる布陣は魅力的だが、今後も継続していけるかどうか。大宮躍進のポイントとして注目したい。
取材◎国吉好弘
▼出場メンバー
・大宮:GKトム・グローバー、DF関口凱心(81分:村上陽介)、西尾隆矢、尾崎優成、加藤聖、MF山本桜大(62分:中山昂大)、加藤玄、豊川雄太(81分:小島幹敏)、FWカプリーニ(74分:スファナット・ムエアンタ)、カルリーニョス・ジュニオ(62分:杉本健勇)、泉柊椰
・新潟:GKバウマン、DF藤原奏哉、藤原優大、舩木翔、加藤徹也、MF奥村仁(74分:佐藤海宏)、新井泰貴(59分:前田椋介)、大西悠介(74分:白井永地)、シマブク・カズヨシ(90分:森璃太)、FW桑山侃士、若月大和(59分:笠井佳祐)
