上写真=早川史哉がカズとの対戦に感激。右はなぜかピッチに飛び出したJ2J3・EAST-Bの槙野智章監督(写真◎Getty Images)
「ワクワクしましたね」
「カズさんとプレーできて、本当に夢みたい!」
J2J3・WEST-AのDFとして、5-6位決定戦に出場していたアルビレックス新潟の早川史哉は、同EAST-Bの槙野智章監督が選手として登場するのと一緒に、カズがピッチに入ってくるのを見ていた。
「小さい頃から見ていた選手ですから、すごくワクワクしましたね」
練習試合でも一緒にプレーしたことがない、背番号11の憧れのスーパースター。スタジアムには「カズにゴールを決めてほしい」という雰囲気が充満していた。
「それは、僕も感じていました(笑)。相手の選手たちもみんなカズさんを第1に見ていましたしね」
ただ、3バックの中央に入っていた早川はカズを止めなければならなかった。それは成功したのだが、試合は0-2で敗れて6位で特別な祝宴を終えた。そして改めて、感慨深げに言葉を続けた。
「カズさんがこのピッチに立っていること自体が、日本のサッカーの歴史だと思っています。そういう意味で、まだまだこの場に立たれてることを、本当にリスペクトしています」
ハーフシーズンの終わりに、大きな刺激をもらった。
「次の世代に残していきたい」
新潟がJ1から降格して臨んだJ2・J3百年構想リーグでは、地域リーグラウンドで2位、プレーオフラウンドを終えて最終的に7位でフィニッシュした。その結果に満足するわけはない。
「サッカーのスタイルも変わりましたし、選手も変わったという意味で、転換期ではあると思います。でもその中で、サッカーの原点というか、プロスポーツは勝つことがどれだけ重要なのかを、改めて感じることができたハーフシーズンでした」
リーグのランクが落ちたとはいえ、やはり勝利という事実こそが選手の意識を変えていくものだと実感した。
「勝利への欲望をもう一度取り戻す意味では、非常に重要な半年間でした」
それを8月に始まる新シーズンに、まっすぐにぶつけていかなければならない。熱いサポーターたちがJ1昇格を渇望している。
「難しいリーグであることは間違いないですけど、今回の成功体験をぶらさずに、矢印を常に自分たちに向けてやっていきたい」
早川自身はわずか7試合、178分のプレーにとどまった。それでも自分を変えてはいけないと言い聞かせた。
「ケガや体調不良で最初のころメンバーに入れなかったときでも、自分の居残り練習や試合翌日の練習でも集中していい準備をして取り組み続けたという思いはあります。だからこそ、最後のほうにはチャンスをもらえたと思いますし、僕だけじゃなくて舞行龍ジェームズ選手もそうですけど、ベテランが普段からそういう姿を見せるのは、チームにとって何か大きな意味を持つと思うんです」
勝つチームには、本当の意味で「軸」になる選手がいる。早川には、そのために必要な「J1昇格」という大きな成功体験がある。
「一度、J1昇格を経験した者としては、長いシーズンで先発した選手だけが活躍するということがないのを分かっています。全選手がいい準備をして、いい競争をすることでしか、アルビレックス新潟というチームは昇格をなし得ないと思います。それを経験した意味を、しっかりとこのチームに、そして次の世代に残していきたい」
