上写真=40分に先制ゴールを決めた鈴木孝司が仲間とともにベンチへダッシュ!(写真◎J.LEAGUE)
■2022年8月14日 J1リーグ第31節(カンセキ/7,809人)
栃木 0-2 新潟
得点者:(新)鈴木孝司、藤原奏哉
選手がもらった「すごい力」
松橋力蔵監督は40分に生まれた鈴木孝司の先制ゴールを「もぎ取る」と表現した。
「リズムを崩すことなく、鈴木孝司のゴールで1点をもぎ取ることができて勢いづいて、後半に生かすことができました」
相手のパスミスをトーマス・デンが見逃さずにワンタッチで前に送り、受けた伊藤涼太郎が落ち着いてターンして前を向くと、シュートのように鋭いパスを左寄りの鈴木にずばりと届けた。鈴木は右足で中に入ると見せかけて右足首を返すように力を入れて小さく左にボールを動かすと、間髪入れずに左足をコンパクトに振ってしっかりミート、ゴール左上を射抜いた。栃木がペースを握る展開で生まれたゴールの意味は大きかった。
「最初に右足で巻いてファーに打とうと思ったんですけど、相手が少し距離が遠かったし、(DFの)両足が揃っているのが感覚ですけど見えて、足が出てこないと思ったので一個外してシュートしました。外してシュート、というところが素早くテンポよく打てたのが良かった」
ストライカーの感性が生きた一連のアクション。栃木SCに要所を消され、リズムをつかめずになかなかボールが前線に入ってこない前半に、一瞬で目の覚めるような一撃を食らわせた。これでチーム単独トップの今季8ゴール目だ。
「ボールを持ててもなかなか有効につなげなかったと思ってたんですけど、ショートカウンターがチャンスになるなと。取ったボールをトミー(トーマス・デン)が前につけてくれたのと、涼太郎が的確に僕にボールをくれたので、僕は決めるだけというわけではなかったけれど、敵はよく見えていたし、シュートのタイミングもコースもよかったので、時間帯も含めていいゴールを決められてよかったです」
そんなプレーを後押ししたのが、声。この日はアウェーゲームだったが、声出し応援運営検証試合で、新潟のサポーターが2020年2月以来、あらん限りの声援をピッチにまっすぐに届けた。21年に移籍してきた鈴木にとっては、初めて経験する「アルビレックスの声」だった。
「みんなが思っている以上に選手はすごい力をもらっていて、アップのときに鳥肌が立って涙が出そうになるぐらい、飛び跳ねている姿を見て思いました。これが本来あるべき試合の風景だと思うし、その中で点も決めることができて自分の名前を呼んでもらえてうれしかったです。一緒に戦ってくれていつも心強いです」
これで暫定だが首位に返り咲いた。ピッチの仲間とベンチの仲間とスタンドの仲間とともに「もぎ取った」勝利。10月23日の最終節まで、あと11試合ーー。