横浜FCのエースストライカー、小川航基が2度目の月間MVPだ。J2『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』では、2・3月度に続き6月も小川が受賞した。4試合3ゴールという数字はもちろん、ベガルタ仙台、アルビレックス新潟との上位対決で連勝したことも大きい。『DAZN Jリーグ推進委員会』では月間表彰者をインタビュー。サッカーマガジンWEBでは、J2MVPに迫る。

「今日は点を取らせてもらうからね」

画像: 金沢戦のゴールは、高校時代のチームメートでもあるイサカ・ゼインのクロスを左足で押し込んだ「完璧なゴール」(写真◎J.LEAGUE)

金沢戦のゴールは、高校時代のチームメートでもあるイサカ・ゼインのクロスを左足で押し込んだ「完璧なゴール」(写真◎J.LEAGUE)

――金沢には追いつかれて1-1で終え、次は仙台とのビッグマッチ。

小川 6月で一番印象的なゲームですね。上位対決でアウェーゲーム。この試合でチームとしても個人としても結果を残せなければ、昇格できないと思って臨みました。大一番と言って過言ではないゲームでした。

――後半戦の最初のゲームであり、2位の仙台に勝ち点で並ぶ3位の横浜FCがアウェーに乗り込んで直接対決、というしびれる状況でした。ここで3-2と勝ち切ります。

小川 先制点は取りましたけど、いつ逆転されてもおかしくない雰囲気でした。アウェーでも一丸となって地力を見せて、勝ち越し点、さらに追加点を取ることができて、チームが一皮むけたことを証明したと思います。自分で決めた勝ち越しゴールは、やはり印象に残っていますね。

――そのゴールは、ニアに勢いを持って入っていって、同じくイサカ選手のクロスを左足に当ててゴールを割りました。ハーフウェーライン付近でポストプレーから右に展開して組み立てに参加してから、ゴール前に入っていきましたね。

小川 横浜FCに来てから、ポストプレーでリズムを作るところにも加わって、はたいてから中に入っていく、というゴールが多いんですね。2列目から入っていくと守る側もマークしづらいですし、その大切さはこのチームに来て学んだことの一つです。しっかり中盤で収めてターンして、はたいて中に入っていったときには、ディフェンダーがどういう体の向きでどういう戻り方をしたのかを見て、スプリントして入っていけて、これもいいゴールの一つですね。

――決めたあとに右足のふくらはぎを痛めて倒れ込んだところに、みんなが祝福に来て、痛がる小川選手と喜ぶ仲間とのコントラストが印象的でした。

小川 あの試合は気合が入っていたし、アウェーで、仙台さんという実力あるチームを相手にして、ボールを持たれて守備に回る時間が長くて走らされましたから、その疲弊もあって。早い段階でピクピクきていたので、ここぞというところで出すパワーを意識していました。ゴールを取れるあのタイミングでスプリントしたら、つってしまったという感じですね。みんな気づいていなかったのでわっと寄ってきましたけど、最後はハイネルが伸ばしてくれました(笑)。

――続く新潟戦はリベンジの意味合いも強いゲームでした。1カ月前の前回対戦ではアウェーで0-3と完敗していましたから、思いも強かったですね。

小川 仙台戦、新潟戦という2連戦は、みんなが大事だとわかっていました。何かを残せなければJ1に上がれないと思って、その気持ちがピッチに表れていましたね。新潟戦は前回、スコアも内容も徹底的にやられた印象があって、本当に悔しかった。だから、それを晴らしてやろうという思いが強かったんです。

――そして、またもや決めてみせるわけです。右からのボールを中央で受けて、左の長谷川竜也選手に展開しています。そこからのクロスにヘッドで合わせる先制ゴール。

小川 中盤で受けたときに、ちょっと無謀だったと思うけれど、シュートを打とうと考えたんです。でも、竜也くんがいたのが見えたのでパスにしました。少し外にずれた感じに見えたかもしれないですけど、計算も入っていました。少し長めに出してサイドの方に送っておいて、そこから僕が中に入る間に竜也くんがカットインしてあの軌道のクロス、そしてヘッド、というゴールのイメージを、竜也くんにはたいたところで感じていたんです。

――そのままぴたり、だったんですね。

小川 それにしても、竜也くんのクロスはめちゃくちゃいいボールでしたよね。ストーンの選手に引っかかることなく、しかもキーパーもぎりぎり出られない。どちらが出ていけばいいのかわからなくする、絶妙なボールでした。そこに飛び込んでいきましたけど、仲間を信頼したがゆえに生まれたゴールだと思います。

――少しかがみ込むようにしてヘッドで放ったシュートは、GK小島亨介選手の右手をはじいて転がり込みました。小島選手は2017年にU-20ワールドカップに出場したときのチームメートですね。

小川 亨介くんとは代表のときから仲良くさせてもらっています。でも、昨年も一昨年も点を取れなくて、「今日は点を取らせてもらうからね」と試合前に話しました。亨介くんは「いやいやいや。今日はシャドーじゃなくてトップだってわかってるからね」って言ってましたけど(笑)。試合後は残念だけど、時間がなくて話せませんでした。

――この試合、サウロ・ミネイロ選手が出場停止のため、小川選手はそれまでのシャドーではなく1トップでプレーしました。この2つのポジションで意識は変わりますか。

小川 前線の選手として、得点を取ることに関してゴール前に入っていくことは同じです。ただ、組み立てのときにシャドーだとなかなかボールを触れない時間帯も多くなっていました。トップに入れば、足の速いサウロと僕はまた違う特徴なので相手も感覚は違うと思いますから、そこで自分の良さを出せているかなと思います。


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