上写真=高木善朗は「後半戦は甘くないなと身を持ってわかった」(写真◎J.LEAGUE)
■2022年6月26日 J2リーグ第23節(ニッパツ/9,100人)
横浜FC 2-0 新潟
得点者:(横)小川航基、渡邉千真
「ネガティブに思う必要はない」と島田
横浜FCとの頂上決戦。アルビレックス新潟は0-2で完敗した。
黒星は7試合ぶりのこと。失点は小川航基と渡邉千真の個人能力の高さで決め切られたものだが、心配なのは攻撃だ。ゴールを奪えなかったゲームはというと、3月30日の第7節、ジェフユナイテッド千葉戦以来、実に16試合ぶりだった。
キックオフから勇猛果敢な横浜FCに対し、これまでのような軽快なリズムを刻むことができない。もちろん、前回対戦で0-3で敗れた横浜FCの意地もあったが、高木善朗は原因は単純なことなのだと明かす。
「単純に、自分のところで展開できなかったし、セカンドボールを拾われていました」
高木を起点に左右にボールを振り分けて、多くの選手が絡みながら相手守備にほころびを作り、一気に突いていくのが今季の新潟の強みだ。だが、「リズムが作れなかった」と高木は顔を曇らせる。なぜ、高木から展開できなかったのか。なぜ、リズムを生めなかったのか。
「ちょっとしたズレがあったり、ボランチとの距離感もよくなかったと思います」
高木が受けても、いつものように周囲に人がいない。
「距離が長かったので、僕に入ったときにサポートがいなくて、ちょっとしたワンタッチでリズムを変えるシーンがありませんでした。相手のプレッシャーの形によって自分たちで変えていたとは言え、自滅感はありました」
すぐ近くの選手と小刻みに前後左右にボールを動かすパスのやり取りは、これまでに比べれば確かに少なかった。ボールを動かしながら相手の反応を探るアンテナのようなパスがなく、いきなり勝負に挑みかかるような直接的なパスが増えたことで逆に、相手の的を絞りやすくしてしまった。
そのボランチでは、島田譲も「長いくさびのパスが入ったときに、前線やヨシ(高木)が孤立してしまう部分はあったと思います」と感じていた。同時に解決策も見えていた。
「僕が比較的、後ろでつくるというか、一つずつはがしていくというイメージでいて、前半はそれがうまくいく感覚がありました。そうやって一つひとつはがしていけば、どこからでも相手の間へのパスは通していけるというイメージはあったんです」
横浜FCは2トップが規制をかけながらも、そこからぐっと前に奪いに出てくるというよりは、パスが出た場所で厳しく対応するような守り方だった。だから、無理せずにていねいに一つひとつプレッシャーをかいくぐっていけば、確実に前進できる実感があった。
「だから、そのパスがずれたり、パスが入ったあとのクオリティーが課題だと思います」と、あくまで技術的なミスに過ぎないと感じていた。チームの共通認識にそもそもズレがあったり、狙いどころがかみ合わなかったり、あるいは相手にどうやっても上回られているのであれば修正に時間がかかるが、あくまでこれまで通りに技術の精度が整えば問題ない、という認識だ。
「サッカーなので攻めていても点を取られることもあるし、一瞬のスキで負けることはあります。でも、自分たちがやったことをネガティブに思う必要はないし、ただスキを突かれた部分は真摯に課題として受け止めて次に向かっていくだけです」と島田。
「相手の立ち位置と自分たちの立ち位置を判断してボールを動かせなかったので、自分たちに敗因はあると思います」と高木。
課題解決への道筋は、どちらにもはっきり見えている。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE