2・3月度のJ2『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』は、7試合で6ゴールを記録し、文句なしの活躍を見せた横浜FCのFW小川航基が受賞した。『DAZN Jリーグ推進員会』では月間表彰者をインタビュー。サッカーマガジンWEBでは、J2で最も輝いたストライカーに迫った。好調の理由について、そして「これから」について受賞者にじっくり話を聞いた。

結果を出すこと。成長に焦らないこと。

画像: 今季の小川はシュートパターンの豊富さを示し、レンジの広さも見せつけている(写真◎J.LEAGUE)

今季の小川はシュートパターンの豊富さを示し、レンジの広さも見せつけている(写真◎J.LEAGUE)

――今季、ここまで9試合に出場し、8ゴールを挙げていますが、その中でPKはありません。小川選手のキャリアを振り返るとき、重要なPKを蹴っている印象があります。

小川 そう言われみると、そうかもしれません。

――高校選手権の3回戦の青森山田戦では外して敗れることになりましたが、その後も率先して蹴ってきたイメージがあります。2016年のAFCのU-19の決勝のサウジアラビア戦で最後のキッカーを務めて優勝していますし、18年のJリーグ初得点もPKでした(広島戦)。同じ年の東京Vとの入れ替え戦でも重要な場面で決めました。

小川 確かに、そうですね。

――あまりプレッシャーを感じるタイプではないですか。

小川 PKに関して言えば「オイシイ」ですもん。試合中に蹴る場面が訪れたとして、自分のゴール数を1つ増やすチャンスが目の前にあったら、やっぱり蹴りますよね。正直、外したあとのことはあまり考えたことはなくて、「これ外したらやばい」なんて全く思わないです。外して落ち込んでも何かが変わるわけでもないですし。選手権のときに外して以降、プロ入ってからは練習試合も含めて外したことがなくて、いつも強い気持ちで蹴っているだけですね。あの選手権の時も強い気持ちで蹴りましたが、あのときは、まだ終わりたくなかったのでけっこう落ち込みましたけど、でもだから蹴りたくないとはなりませんでした。チャンスなのに、他の人に蹴らせるわけにはいかないという思いの方が強いですね。

――今季もチャンスが来たら蹴りたいと。

小川 蹴りたいですね。

――得点王というタイトルも視野に?

小川 ずっと意識しています。ただ意識はしているけど全然、結果がついてこないだけで。去年は試合になかなか出られませんでしたし、得点王とか言っている場合ではなかったので、でも今年は試合にも出られていますし、得点も取れているのでチャンスかなと思っています。

――今季のゴールで言うと、山形戦のミドルシュートが話題になりました。パンチ力はそれこそ高校時代から見せていましたが、ボックス外からの強烈な一発に驚いた人も多かったようです。

小川 実はけっこうミドルシュートも得意なんです。でも今までは一番前をやることが多かったですし、ゴールに背を向けた状態でポストプレーしてゴール前に入っていくというのが自分の形だったので、ああいうシュートは打つ機会がなかったんですけど、父親からも「あんなシュートは中学生以来だ」と言われました(笑)。中学のときもシャドーとか、トップ下をやることもあって、ああいうシーンが多かったんです。昔から、あの感覚はあって、チャンスが来れば決められると思っています。あのシュートに関して言えば、思い切って打ったことが一番よかったですね。

――シュートの多彩さも含めて、これまで出せていなかった小川選手の武器を今ようやく出せているという意味で、ここに至るまでの時間は長かったと感じますか。

小川 そうですね。思っていたキャリアとは全然、違い過ぎるというか。もちろん毎年毎年「今年こそは」という思いでやってきましたけど、結果が出ない時は出ないものだと感じることもありました。プロ7年目ですが、かつて、高校を卒業してプロに入ったときに思い描いていた自分なら、いまは海外にいて代表に入っている。ただ、すべてがイメージ通りに行ったら、みんな苦労はしないと思いますし、ここから、そのイメージに追いつく、取り戻せるチャンスはあると思っているので頑張りたい。

――年代別の代表に名を連ね、東京五輪での活躍も期待されていましたが、大きなケガもあった中で、五輪では日の丸をつけられませんでした。いま代表に対してはどんな思いを持っていますか。

小川 変わらず、(思いは)強いですね、やっぱり。入りたいと思いますし、一緒にやっていた選手たちともう1回プレーしたいとも思います。ワールドカップにも出たいですし、その思いは常に持っています。

――U-20W杯でともにプレーしていた選手たちの中には海外に移籍し、A代表に名を連ねている選手もいます。刺激を受けますか。

小川 みんながたくましくプレーしているし、海外に行く意味を示してくれているとも思います。もう一度、僕もみんなと一緒にサッカーにして上を目指したい。ワールドカップもずっと目指している場所なので。

――お話を聞いていると、ワールドカップイヤーにJ1に昇格した磐田からJ2の横浜FCに移籍するのは、相当大きな決断だったと想像できます。

小川 今回の移籍に関しては、みんなが、僕がワールドカップを意識していないと見るとは思っていました。でも、諦めているとかそういうことでは全然ないんです。もちろん現時点ではメンバーに入っていないですけど、本当に何があるか分からないとも思っています。今はしっかりと自分の力を証明したい。まだ結果を残せていないと自分で強くを思っているので、カテゴリーは問わずにまずは結果を出すこと。あとは自分の成長に焦らないこと。横浜FCで自分の力を証明したいと思っています。

――最後に改めて今季の目標を聞かせてください。

小川 チームはスタートダッシュができました。ただ、これを無駄にしないようにしたい。まだまだここから長いので、間違いなくどこかで苦しい時期が来ると思いますが、それを乗り越えて必ずJ1昇格という目標を果たしたいと思っています。個人としては点を取れていますけども、チームが勝つために、貢献するために、これからも点を取り続けていきたいです。

取材・構成◎佐藤 景

Profile◎おがわ・こうき/1997年8月8日生まれ、神奈川県横浜市出身。桐光学園時代から世代を代表するストライカーとして名を馳せ、年代別代表にも選ばれた。卒業後にジュビロ磐田に加入。しかしケガもありなかなかその力を出せす、2019年には水戸ホーリーホックに育成型期限付き移籍を果たす。17試合で7得点を挙げてチームに貢献した。翌年の磐田復帰後は9得点を記録するもブレイクには至らず、昨季はわずか1得点。心機一転、今季、横浜FCに完全移籍で加入。開幕から先発を続けるとともに持ち前のシュート力を発揮し、ゴールを量産している。186cm、78㎏


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