4月3日の明治安田生命J2リーグ第8節で、ロアッソ熊本がアルビレックス新潟を迎えた一戦。熊本が4分に先制して機先を制したが、新潟は21分に同点に追いついて後半へ。攻撃によりパワーをかけた新潟がチャンスの連続をようやく決めたのは、アディショナルタイムに入ってからだった。

上写真=早々に先制された新潟だが、21分に谷口海斗が超ロングシュートを決めて同点に追いつき、息を吹き返した(写真◎J.LEAGUE)

■2022年4月3日 J2リーグ第8節(えがおS/2,885人)
熊本 1-2 新潟
得点者:(熊)坂本亘基
    (新)谷口海斗、鈴木孝司

画像: ■2022年4月3日 J2リーグ第8節(えがおS/2,885人) 熊本 1-2 新潟 得点者:(熊)坂本亘基 (新)谷口海斗、鈴木孝司

「奪ったボールをつなげなかった」と大木監督

 劇的な結末が待っていた。ロアッソ熊本がアルビレックス新潟を迎えた一戦は、1-1で迎えた90+2分に決勝ゴールが生まれた。奪ったのは新潟。

 右からのCKが弾き返されたが、高木善朗が拾って一度GK小島亨介まで戻した。熊本が一気に上げたラインの裏に、大きなスペースができた。田上大地が右斜め前に走り出し、小島がそこへロングボールをぴたり。左に走った鈴木孝司に浮き球のパスが届くと、ヘッドできっちりゴールに送り込んだ。

 最後の最後まで決着がつかなかったが、動いたのは早かった。開始わずか4分、イヨハ理ヘンリーのロングパスで左サイドを抜け出した坂本亘基が、落ち着いて長谷川巧を切り返して右足を一振り、ボールはGK小島亨介の股下を抜けてゴールに飛び込んだ。ホームチームが幸先よく先制した。

 熊本は新潟のボール回しに対して、高い位置でコンパクトな陣形を組んでパスの出口で厳しくプレッシャーをかける距離感をキープ。先制後もゴールに迫る勢いでゲームをリードしていった。ただ、新潟ももちろん流れを押し戻していく。きっかけは21分の同点弾だった。

 相手陣内の右サイドで熊本が短く回すところで、谷口海斗がプレス。相手からボールを奪うと、すぐさまゴールへと超ロングシュートを放った。前に出ていたGK佐藤優也の頭上を越えてゴールに吸い込まれる驚きの一撃で、ようやく息を吹き返した。

 後半はほぼ一方的に新潟のペース。特に前半に効果を発揮していた熊本のコンパクトな陣形が、60分前後からは疲れもあってか徐々に崩れていく。判断が遅れ、足が動くタイミングがずれ、新潟が狙ってくるDFラインの前後にスペースを広げ始めた。新潟はこれを見逃さずに、何度も何度もチャンスを作った。しかし、シュートミスや熊本守備陣の踏ん張りでゴールは生まれなかった。

 それでも新潟からゴールへの意欲が消え去ることがなかった。特に決勝ゴールが生まれる前の時間帯ではセカンドボールを拾い続け、波状攻撃を仕掛けていた。それが最後の最後に実った形だ。

 だから、熊本の大木武監督は課題として真っ先に「最後に点を取られたところ」を挙げた。粘り強い守備は見せたものの、攻撃では「奪ったボールをつなげなかった。そこをやらなければいけなかった」とも。

 劇的勝利の瞬間、新潟の松橋力蔵監督は控えめだが、右拳を握りしめてガッツポーズで喜びを示した。「素直にうれしいです」という結果は、「攻撃のクオリティーがちょっと欠けていて、自らペースを崩してしまったので、そのクオリティーに対して追求しようと話しました」というハーフタイムのメッセージが実った形だ。「(熊本が)非常にエネルギッシュであるので、それ以上のエネルギーを注ぎ込もうと。90分間、最後のホイッスルが鳴るまで選手は戦ってくれました」という勝利への意志が、勝ち点3に導いた。

写真◎J.LEAGUE


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