上写真=チョウ・キジェ監督は選手にも「いつもどおり」を浸透させる。これまでの積み上げに自信があるからだ(写真提供◎京都サンガF.C.)
「謙虚に目の前の試合に向かっていく」
2021年の京都サンガF.C.の指揮官として、チョウ・キジェ監督が就任して掲げたのが「HUNT 3」なるフレーズだった。
我々は、見ている人が引き込まれるインテンシティと究極に勝負にこだわる姿勢を見せ、新しいチャレンジを恐れず、タフに戦い続けます。
[H] HIGH INTENSITY
[U] ULTIMATE
[N] NEWBORN
[T] TOUGH
すべての試合で勝ち点3を自分たちから奪いにいく姿勢を示したコピーである。それを一つひとつ実現させて、いよいよJ1昇格は目前だ。11月20日、アウェーに乗り込んで戦うファジアーノ岡山戦に勝てば決定する。引き分けても負けても、V・ファーレン長崎とヴァンフォーレ甲府の結果次第で決まるとはいえ、「HUNT 3」の精神がシーズンを通して染み渡っているから、これまでどおり勝利のみを奪いに出て、集大成の「HUNT J1」を実現させる。
その岡山戦に「J1昇格決定戦」の重みはあっても、長いリーグのうちの1試合。そんな姿勢をチョウ監督は崩していない。
「いよいよの気持ちもありますけど、いい意味で平常心でやりたい」
就任当初から言い続けてきたとおり、日々の練習と試合による積み重ねに価値を置いているからだ。
「試合や練習を通して選手の自立心は上がったと思います。物足りない部分でもあったけれど、そういうものの繰り返しがここにつながっています。でも、今度の試合でそうなる保証はないので、謙虚に目の前の試合に向かっていくしかない」
それは対戦相手へのリスペクトの気持ちからでもある。岡山とは6月に対戦してピーター・ウタカと川崎颯太のゴールで2-0の勝利を収めている。だが、同じことが実現できるとは限らない。
「前期とメンバーが変わって、ここ10試合の勝ち点につながっていると思います。相手にいい選手がいるのは当たり前のことで、そこで我々のサッカーをしないと」
岡山のアウェー側のチケットは、もちろん完売だという。
「だから勝ち点3を守るのではなく、奪いにいくサッカーをアウェーだからしないといけないと思います。それをやり続けてこの場所にいるので、奢らず高ぶらず、自分たちの良いゾーンでプレーし続けたいと思っています」
平常心の先に見える歓喜。決まれば、2010年以来のJ1での戦いがかなう。