8月14日の明治安田生命J2リーグ第25節で、アルビレックス新潟はジェフユナイテッド千葉の守備に苦しめられて0-0。これで3戦連続のドローになった。福田晃斗はあらゆる場所に顔を出して奮闘したが、実らなかった。

上写真=福田晃斗はボランチでもインサイドハーフでもプレーできる感性でチャンスをうかがった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年8月14日 明治安田生命J2リーグ第25節(@フクアリ/観衆3,193人)
千葉 0-0 新潟

「あえて抜けていってスペースを空けて」

「彼はJ1レベルの選手」とアルベルト監督は言う。全幅の信頼を寄せるのは、福田晃斗だ。左ヒザの大ケガから7月に復帰してからというもの、この背番号17を軸にアルビレックス新潟の攻守は回っている。

 8月14日、J2第25節のジェフユナイテッド千葉戦は相手の鋭敏なプレスに苦しめられてスコアレスドローに終わった。なかなかゴールに迫れなかったが、「J1レベル」の判断でこの日、最大のビッグチャンスを演出したのが福田だった。

 12分に右から藤原奏哉の横パスを引き出して、腰を深く折るようにしてフリック、左に流し入れて堀米悠斗に渡し、そこから左に走り抜けた谷口海斗が受けてフィニッシュ。GK新井章太に阻まれたが、右から左に素早くボールを走らせた判断と技術がモノを言った。

「プレーしているときに常に立ち位置を考えています。奏哉が中に運び出してきたときに周りに相手がいないのは確認していて、横パスが僕のところに通るのは明確でした。周りを見て相手がプレスに来たのはわかって、ゴメス(堀米)が走っている感覚はあったので出しました」

 千葉の厳しいプレスが一瞬、緩んで、空いたスペースを射抜いた好判断だ。

 でもだからこそ、福田の仕事量は加速度的に増しているのではないだろうか。ボールを渡せば確かになんとかしてくれるから、この日は特に千葉のプレスに押し戻されて困ったら福田へ、というシーンが散見された。加えて、あえて相手を引き連れてスペースを空けても、味方がそこを使うシーンも少なかった。

「僕も受けられないときはあえて抜けていってスペースを空けて、味方に入ってきてもらうコンビネーションを出したいと思いつつも、うまくいっているときには自分が抜ければ自然と誰かが入ってくる循環が流れるのですが、相手に押し込まれたり苦しい状況になったときに一人ひとりが普段どおりのパフォーマンスを出せていないので、そこは僕も含めてですけど練習から伝えたいと思います」

 2巡目の対戦にもなれば、どのチームも新潟の強みを消し込む仕掛けをあちこちに施してくる。でも、それを振りほどかなければ昇格はない。

「クオリティーをシンプルに上げることですね。あとは、マンツーマン気味に相手が来てくれたほうがありがたい、という感覚にできるぐらいまで完成度を高くやりたいと思います」

 これまではそれができていた。だから、やり続ければいい。「とてもポリバレントな選手で、ボランチでもその一つ前でもいいプレーをしてくれています。同時に個性の強い選手でもあるので、チームに必要で、活躍してくれてうれしい」と表現してアルベルト監督が目を細めるこの人が、有形無形の影響を与えながら、チームを前に進めていく。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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