上写真=河田篤秀が大宮での新たな一歩を、かつて輝いたビッグスワンで踏みしめた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年8月9日 明治安田生命J2リーグ第24節(@デンカS/観衆12,587人)
新潟 2-2 大宮
得点者:(新)島田譲、谷口海斗
(大)中野誠也、西村慧祐
「ここでは楽しい気持ちでプレーできる」
河田篤秀がデンカビッグスワンスタジアムに帰ってきた。2017年にアルビレックス新潟シンガポールから帰国して、日本でのプロキャリアをスタートさせたのがアルビレックス新潟。このスタジアムは、新しい挑戦を象徴する場所である。
2019年に徳島ヴォルティスに移り、2年半プレーしてこの夏、大宮アルディージャに完全移籍で加わった。その初戦が、新潟とのアウェーゲームとなるめぐり合わせだ。霜田正浩監督は先発メンバーとして送り出した。
「大宮デビュー」は71分間のプレー。加入から日が浅いために、霜田監督も「河田は持っているものは素晴らしいので、どう生かすかをチームでやりながら熟成させる必要がある」と慎重だったが、それは河田本人も同じ。「満足するようなプレーではなかったですけど、来て時間もなくてすり合わせている状態ですね。試合をこなしてよくなっていけば」と振り返っている。
キックオフ直後は厳しいプレスの急先鋒となって、新潟のセンターバックの千葉和彦と舞行龍ジェームズに襲いかかった。うまくはがされれば、二の矢を放って今度は2列目と距離を近づけてパスコースを消していった。意外性のある裏抜けや難しい体勢からでもフィニッシュに挑む柔軟性が最大の魅力だが、そこを合わせるのはこれからになりそうだ。
前半は試合運びがなかなかスムーズにいかず、後半にはゴールが生まれたものの、より意図を持った攻守を増やしたい。「やるべきことはみんなやっていたんですけど、そこから試合の状況に応じて守備でも攻撃でも変えられなかったので、そこは次への課題かと思います」と冷静に新しいチームの現状を分析した。
ポイントは「変えられなかった」にありそうだ。戦い方に大きな失敗があるのなら変化を最優先できるが、そうではなかったというのが河田の実感だ。
「うまくいかないというよりは、やりたいことはできているけれど守備で苦しい状況になったりボール回しが苦しくなっているところはありました。うまくできているから変えるのが怖かったというか、難しいところはあったかなと思います」
うまくできている手応えと、だからこそもう一歩踏み込む意欲のバランスを突き詰めれば、改善へのサイクルに入ることができると考えている。
「個人的には、ここ(ビッグスワン)では楽しい気持ちでプレーできるので、そこは大宮の戦い方を別にして、シンプルに楽しみで来ました」
ビッグスワンは翼を広げる白鳥をモチーフに作られている。「まず個人としては点を取りたいですが、チームとしてうまく動くように最大限の力を出せればいいと思います」と未来を見据える河田は、再びこのスタジアムに立ってパワーを得て、大宮の翼になるつもりだ。