2021年6月26日、明治安田生命J2リーグ第20節が行なわれ、タピック県総ひやごんスタジアムでは、FC琉球と松本山雅FCが対戦した。上位との差を詰めたい4位の琉球は清武のハットトリックを含む4得点で完勝。対する松本は名波浩監督の初陣だったが、失点を止められず、敗れた。

上写真=松本戦でハットトリックを達成した琉球の清武功暉(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月26日 J2第20節(@タピスタ/リモートマッチ)
琉球 4-0 松本
得点:(琉)清武功暉3、風間宏矢

・琉球メンバー:GK猪瀬康介、DF田中恵太(56分:上原慎也)、李栄直、知念哲矢、沼田圭悟、MF風間宏矢、上里一将(85分:市丸瑞希)、富所悠(73分:赤嶺真吾)、清武功暉(73分:風間宏希)、FW阿部拓馬(73分:ハモン)、清水慎太郎

・松本メンバー:GK村山智彦、DF前貴之、星キョーワァン、常田克人、MF外山凌、浜崎拓磨、山田真夏斗(55分:宮部大己)、下川陽太(46分:田中パウロ淳一)、表原玄太(55分:戸島章)、河合秀人(77分:小手川宏基)、FW鈴木国友(55分:阪野豊史)

ボールへの距離はまだまだ「レベルが低い」(名波監督)

 新監督を迎えた松本は、集中力高く試合に入り、序盤は4位につける琉球相手にソリッドな守備を披露した。しかし20分過ぎから相手の細かいパスワークに後手を踏み始めると左サイドを攻略され、クロスから清武に決められて、34分に先制を許してしまう。痛かったのは、その直後に失点を重ねたことだ。ビルドアップでミスからショートカウンターを浴びた。初先発の山田のバックパスが弱くなったところを阿部にカットされ、清武に2点目を叩き込まれてしまった。1失点目から1分後の出来事だった。

 後半、仕切り直してゲームに入りたかった松本はしかし、琉球の圧力に苦しむことになった。51分に山田のミスを突かれて最後は風間矢に決められる。さらに57分には風間矢、清水とつながれて、清武に右足シュートを許し、ハットトリック達成を許す。琉球が先制、加点、ダメ押しといいペースでネットを揺らして、勝利を決定づけることになった。

 残り15分となってからは琉球のペースダウンもあり、松本が攻め込む場面が増えるが、崩し切ることがなかなかできず、フィニッシュゾーンにおけるシュートやクロスの精度にも難があり、ついぞゴールを生むことができなかった。

 21日に就任した名波監督の初陣でもあり、注目されたゲームだったが、琉球が地力の違いを見せつけることになった。松本は新体制になって練習したのは実質3日。難しさがあったのは確かだが、指揮官は敗戦を真正面から受け止めていた。

「90分、アグレッシブにという意味では両ウイングバックが余らずに相手のサイドバック、サイドハーフにピックアップしに行こうと、それでなるべく相手に『後ろ選択』をさせて、コンパクトフィールドとラインコントロールをまめに行なおうと思っていました。最初は相手がわれわれがどういう戦いをしてくるか分からないところで後ろに重たかったので、チャンスが何回がつくれました。ただ試合巧者だと思うのは奪ったあとのファーストプレーの質が良くなってきた15分過ぎぐらいから琉球のペースになったと思います。セカンドボールの反応が良くて、拾われた後にボールに行けないのではなくて行かないシーンが生まれてしまった。こびりついた『後ろ体重』がまだまだはがし切れていなかった。
 山雅サポーターの期待が非常に大きかったと思いますけど、期待にそぐわない結果で非常に申し訳ないですし、関係者の皆様、クラブに携わるすべての人に謝罪はしたいです。それからプラスアルファの部分は何個かあったので、そういうものをまた次、より多く見せていきたい」

 前への意識やボールへのチャレンジなど、名波監督がチームに植え付けようとしているものは垣間見えた。ただ、指揮官が話す通りボールへの距離についてはまだまだ「レベルが低い」のも確か。ここから急ピッチで共有を図り、積み上げ作業を進めることになる。

目標の勝ち点80の半分、40まで来た(樋口監督)

 対する琉球は、序盤こそ相手の出方を見極めたために受けに回ったが、徐々にペースを握り、しっかり勝ち切った。樋口靖洋監督も「今日の試合を評価したい」と胸を張った。

「しっかりとゲームをコントロールしたいと思っていました。きょうの松本について、監督交代の1試合目はなかなか予測しづらい。どんな形で試合に入ってくるのか、分からない。そういう相手に対して変に考えるのではなくて、われわれがいかに戦うかに集中しようと思って試合に入りました。結果的にいい入り方ができて、いいタイミングで(ゴールを)取れて、結果的に4-0とクリーンシートも達成できた。今日のゲームを評価したいと思います。攻撃面では北九州戦ぐらいから、岡山戦も点を取れなかったけれど、いい距離感でボールを動かしながらゴールに向かうシーンがつくれていた。それがきょうは得点につながった。また守備陣が最後に体を張りながら難しい時間もしっかり守った。今シーズン目標の勝ち点80のうち、40まで来ました。ただ、まだまだ勝ち点を積み上げなければ、いけない。山あり谷ありのシーズンで言えば、谷を小さくして山を大きくしたい。リーグ中断までの残り3試合。ここを一つの大きな山に持って行けるように、次の試合が大事だと思っています。頑張ります」

 この結果、琉球は4位をキープし、昇格圏の2位までの勝ち点4差を守った。一方の松本は暫定17位で降格圏の19位まで勝ち点1差と苦しい状況を迎えている。オリンピック開催によるリーグ中断まで、あと3試合。どちらのとっても重要な試合になりそうだ。


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