5月30日の明治安田生命J2第16節の注目カードは、2位のアルビレックス新潟と3位のFC琉球の上位対決。先制したのはアウェーの琉球で、池田廉が絶妙のランで相手DFラインを破って決めたものだった。しかし、同じスタイルの新潟に逆転を食らって、改めて必要なものを見つけた。

上写真=28分に池田廉が決めて琉球が先制。精巧なランで新潟の最終ラインを破った(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月30日 明治安田生命J2リーグ第16節(@デンカS/観衆14,759人)
新潟 2-1 琉球
得点:(新)高木善朗、谷口海斗
   (琉)池田廉

「奪ったときに前線が孤立してしまって」

 FC琉球が敵地で沈めた先制ゴールは、鮮やかだった。

 決めたのは池田廉だ。28分、風間宏希が右に幅を取った田中恵太の足元につけたところが始まりだった。そのとき、アルビレックス新潟の最終ラインはきれいに揃っていたが、池田は右手を挙げてセンターバック2人の間を右斜め前に走り抜けた。田中はグラウンダーのパスをDFの後ろ、GKの前にきれいに滑り込ませた。池田はそのまま右足を振って、ゴール左にきれいに流し込んでみせた。完璧なパス、完璧なシュート。

「恵太くんとちょうど目が合いました。相手の背後、ディフェンダーとキーパーの間にスペースが空いていて、相手がボールウォッチャーになったので走ったら、恵太くんが見てくれていていいボールが来たので冷静に流し込めました」

 樋口靖洋監督も「ハイラインを突いたりサイドを大きく変えたときにはスペースを作れるというのは狙い通りで、1点目はその特徴が出るきれいなゴールでした」と称賛した。

 2位の新潟に3位の琉球が挑む構図の一戦は、この日の大きな注目を集めた。琉球は勝てば順位が入れ替わる。同じようなシステムで、同じようにボールとともに前進していく哲学を持ったチーム同士の対戦では、どちらがより長い時間、ボールを支配するかが勝負のポイントになるはずだった。

「ここ2試合は開始10分で失点していたので、入りに集中しようと話していて、最初の方にセットプレーが多くあったピンチもしのげて、しかもうまく先制できました。でもすぐに追いつかれてしまって、基本的には相手のペースというか、ボールを握られることが多かったと思います」

 先制した1分後に追いつかれて新潟が息を吹き返してしまったことで、「ボールの握り合い」で後手を踏む流れになった。それは、ボールを回すことそのものよりも、相手ボールを奪うところでの反省の色が濃い。

「最初は前から行こうとしていたんですけど、あまりはまらない状態で引いて守る時間が多くなりました。そうすると、奪ったときに前線が孤立してしまって相手が切り替えたところで奪われるシーンが多くて」

 それを解決するには「前からプレスをかけて奪うのが大事かなと思います」と繰り返した。最前線の阿部拓馬とその下に構える池田が規制をかけながら、その次のラインとの距離が空いてしまってプレスが空転する場面が多かった。パスで相手のスキを突くスタイルをもう一度積み上げるためにも、コンパクトな守備を見直していく必要があるということだ。同じ哲学を持った相手との対戦だったからこそ、自分たちに必要なものが見えたはずだ。

写真◎J.LEAGUE


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