上写真=谷口海斗が逆転弾! 交代出場で貴重な大仕事をやってのけた(写真◎ALBIREX NIIGATA/J.LEAGUE)
■2021年5月30日 明治安田生命J2リーグ第16節(@デンカS/観衆14,759人)
新潟 2-1 琉球
得点:(新)高木善朗、谷口海斗
(琉)池田廉
「孝司くんと距離を近くして」
アルビレックス新潟が手にした4試合ぶりの勝利は、谷口海斗の逆転ゴールによるものだった。67分にゴール前に入って蹴り込んだ冷静なシュートを、谷口は仲間のおかげだと強調するのだった。
「みんなが体を張ってくれていいつなぎ方ができて、ヤン(高宇洋)がこぼしてくれて、うまく入ってくれてよかったです」
左サイドバックの堀米悠斗が中央で受けてから縦パスを差し込み、受けた高木善朗が右足のアウトサイドでワンタッチパスをさらに前に入れた。ボランチの高宇洋がペナルティーエリアまで入ってきて、鈴木孝司をポストに使いながらリターンを受けてシュート、強く当てることはできなかったのだが、右サイドハーフの谷口海斗がゴール前に入っていて、「何となくこっちにこぼそうとするのが伝わったので、反応できてよかったです」と高の気迫をテレパシーのように受け取って、右足でしっかりと流し込んだ。
堀米も高も谷口も、いわゆるオリジナルのポジションを離れて、そこしかないという最高のタイミングで最適な場所に入っていって連動した。新潟の強みを象徴するような逆転ゴールだった。
谷口は鈴木が負傷で離脱する間に1トップで出場し、3ゴール。鈴木が戻ってきてからは右サイドハーフに入っているが、ここ2試合はベンチスタートだった。「攻撃の部分でもちろん得点を取ることと、自分が試合を決めようという気持ちがあったので、得点につなげられてよかったです」というのが、勝負どころで投入される自分に課した役割だった。
アルベルト監督からの指示は「(鈴木)孝司くんと距離を近くして、攻撃で勢いを持って入ること」だった。とても興味深いのは、右サイドハーフではあるものの1トップの鈴木との関係を深めるという点だ。
このポジショニングで鈴木の負担を軽減するとともに最前線での圧力を強めつつ、右サイドのレーンを藤原奏哉の攻め上がりのために空けておくという効果もある。逆転ゴールのシーンも、一度藤原が右深くまで走り込んだところに高木がミドルパスを送っていて、クリアされたもののすぐに回収したところから始まっている。
3試合、勝利がなかった苦しさを解き放つ背番号7の一撃。これで首位を奪回し、再び上昇気流に乗っていけそうだ。
写真◎J.LEAGUE