上写真=黒木は6試合連続先発で、そのうち4試合で勝利を手にしている(写真◎KYOTO.P.S.)
大宮に借りを返したい
引き分けを一つ挟んで4連勝。京都サンガが上昇気流をつかみ始めたようだ。その直前に喫した最後の黒星は9月2日の第16節大宮アルディージャ戦。大詰めの89分に1点を決められてアウェーでの勝ち点を逃した。
そして、次節の相手がその大宮なのだ。こんなに早くリベンジできるチャンスが巡ってきた。
「次はホームなので借りを返したいと思います」と集中するのが、左のワイドのポジションに入る黒木恭平だ。
「前回やったときは、自分たちが高い位置を取ったら大宮のウイングの選手がついてきて守るイメージでした。そこのところで優位性を持って高い位置を取れるようにやっていきたいと思います」
大宮の守り方をそんな風に分析している。その印象を元にして、攻略する青写真も描けている。
「こっちが高い位置を取ったら相手も5バック気味になって頑張るイメージですから、優位を持って高い位置を取ったり、逆にあえて低い位置を取って引き出したりしたい」
前回は対面に立ったのはイッペイ・シノヅカだった。その後は渡部大輔もそのポジションでプレーしていて、次の試合で誰が入るかは分からないが、この駆け引きは大きな見ものだろう。
京都はそんな前回の大宮戦から右肩上がりだから、自信もある。
「良くなったのは判断の部分ですね。攻めるときも守るときも、行くところと行かないところの、つまり攻撃と守備の間の切り替えのところのポジショニングや出ていくタイミングですね」
いわゆるトランジションの判断というわけだが、攻守の「間」と表現するところが面白い。攻守は背中合わせで不可分であるという考え方もあるが、黒木の言う「間」とは攻撃でも守備でもなく、いわばどちらにも変わる可能性のある空白の部分があるということ。そこで正しい判断を下せば、主体的に自分たちの色に染めることができるというわけだ。
そこで攻撃に転じることができれば、手応えがある。「足元でつなぐところ、裏に飛ばして前で一発狙うところで、相手を見ながらの判断が良くなっています」。その最たる例が、栃木戦の1点目だ。43分に左に張った黒木の縦パスで野田隆之介が抜け出して折り返し、ウタカがていねいに押し込んだゴール。
「つなぐところと前を見るところがつながった形ですね」と自画自賛する通り、自身がタッチライン際に張って本多勇喜からボールを呼び込んだときに、すぐ横にサポートに入った谷内田、裏のスペースに走った野田の二つの選択肢があった。まさに相手を見ながらの判断で、より可能性の高い、遠い方への縦パスを選んだ黒木の判断がゴールという結果に結びついたのだ。
ようやくリーグは半分を終わったところで京都は5位。9勝7分け5敗の勝ち点34で昇格圏内との勝ち点差はわずかに9だから、後半戦に勝負に出るにはいいポジションではないか。そのタイミングで攻守にかみ合ってきたのだから楽しみだ。
「やっぱり試合をしている方がコンディション上がっていく感じがするし、試合に出てナンボだと思うので大丈夫です!」
連戦の疲労が隠せない時期なのに、なんと頼もしいことか。まずは大宮にリベンジして、最高の後半戦をスタートさせたい。