この連載では再開後のJリーグで注目すべきチームやポイントなど、見所を紹介していく。連載第5回目はJ2のギラヴァンツ北九州を取り上げる。その戦いぶりは、今季のJ2の主役になる可能性さえ感じさせる。

J2仕様にアップグレード

画像: 北九州でナンバー10を背負う髙橋大悟(写真◎J.LEAGUE)

北九州でナンバー10を背負う髙橋大悟(写真◎J.LEAGUE)

 J3を制した昨季も同じゲームモデルで戦っていたが、今季は<J2仕様>にアップグレードされている。冒頭で触れたパスワークはその象徴だろう。サイドハーフで起用してきた國分をピボットに転向させたことで、ボールを動かす力が格段に増している。さすが昇格請負人――小林伸二監督の狙いが見事にハマった格好か。

 新人や移籍組を含め、技術の達者な若者たちを積極的に使っているのも大きい。センターバックに抜擢した大卒新人の村松航太は171センチと小柄だが、球際に強く、インターセプトを連発。さらに、配球力も十分で安定したビルドアップに一役買っている。琉球戦の働きも見事で、3点目と4点目はこの人の縦パスと鋭いインターセプトが基点になっていた。

 若い選手の多くはバイアスが少ないぶん、新規のゲームモデルを吸収しやすい。また、体力面の回復も総じて早いメリットもある。指揮官の求めるハイテンション・フットボールの演じ手に打ってつけ――というわけだ。

 当然、死角もある。

 この先は過酷な連戦。しかも、暑い夏がやって来る。攻守問わず、莫大なエネルギーを使うスタイルだけに、どこまで体力が続くか。スタメンの人選と5人交代制を上手に使って乗り切り算段だろうが、ハードルは高いはずだ。

 また、戦術面での課題もある。マッチアップにズレが生じやすい3バックの相手やサイドチェンジを多用しながら包囲網をかいくぐる相手に対して、カウンタープレスがどこまでハマるか。再開初戦に1-2と競り負けたV・ファーレン長崎との前半がそうだった。必ずしも強度の不足だけがプレス空転の理由ではない。体力を削られれば、自ずとパスワークの質も落ちる。

 おそらく山あり谷。戦力の拮抗したJ2の舞台で一筋縄ではいく相手など一つもないが、降格を恐れずに戦えるのはヤング・ギラヴァンツの大きな強みだ。とにかく、あの爽快なフットボールを見るのが待ち遠しい。相手がどこだろうが、思う存分やっちゃってください!


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