上写真=2008年に入社した北川社長。大いなるクラブの将来像を描き、力強く前に進んでいる(写真◎ファジアーノ岡山)
「明るい話題とコンテンツを提供する」
――公式戦の中断期間にクラブとして意識されたこと、気付いたことはありますか。
北川 こういった状況が起こることも念頭に入れながら、クラブを経営していかなければいけないと再確認しました。ただ一方で、そんな状況でも考え方はあまり変わらない、ということも再確認できました。
――あまり変わらない、とは?
北川 ファジアーノは試合が行なわれる2時間だけでなく、その前からスタジアム周辺で楽しんでもらうことをコンセプトにしています。スタジアムグルメの『ファジフーズ』は、1試合平均で約3400人に利用していただいており、子どもが安心して遊べるスペースは400~500人、ステージイベントは1回に約150人、ワークショップは約200人です。合計すると、来場者の半分以上に試合開始2時間前から楽しんでもらっている計算になります。
5月に期間限定で、『ファジフーズ』を自宅にお届けするデリバリーサービスを実施したところ、多いときで1日約500人に利用していただきました。YouTubeの『FAGIANO CHANNEL』も、約300人に見ていただいています。スタジアムであれ、自宅であれ、ファジアーノのコンテンツを楽しむ方々が数多くおられることは変わらない、と再確認できたわけです。
――再開するJリーグは、当面はリモートマッチで、少しずつ観客を入れることが可能になる予定です。
北川 ファジアーノの『Challenge1』プロジェクト(※J1にふさわしいクラブを目指す指針の一つとして、年間のホームゲーム1試合平均入場者数で1万人以上を目指す取り組み)は、どんな状況でもぶれることなく、続けなければいけないと考えています。とはいえ、もちろんJリーグとファジアーノの指針に沿って、感染者を出さずに試合を楽しんでもらうことは、意識しなければいけません。
――感染者を出さず、多くの方に会場に来てもらうためには、来場者の協力が不可欠です。
北川 その通りです。今回の中断期間を通じて、ファジアーノの社会的影響力の大きさや、地域の模範として行動することの大切さを実感しています。これは今後も、来場いただける方々とともに意識しなければいけないことです。多くの人が集まってワイワイ騒ぐことは、まだしばらくは難しいでしょう。だからこそサッカー、スポーツという共通の話題や趣味によって、絆が生まれ、それを強固にできると感じています。皆さんにご協力いただきながら、岡山県に明るい話題とコンテンツを提供することが、ファジアーノが果たせる役割だと思っています。