明治安田J1リーグの開幕戦で、川崎フロンターレは8月9日に東京ヴェルディと対戦。後半開始早々に先制されて苦しんだが、90+6分にラザル・ロマニッチが決めて土壇場で追いついた。このゴールを導いたのが佐々木旭だ。その瞬間、佐々木に見えていたものとは?

上写真=佐々木旭が劇的な同点ゴールのきっかけになった(写真◎J.LEAGUE)

■2026年8月9日(日) 明治安田J1第1節(観衆27,452人@味スタ)
東京V 1-1 川崎F
得点:(東)溝口修平
   (川)ラザル・ロマニッチ

「もう感覚です」

 後半開始直後に失点を食らって0-1のまま時計は進み、敗色濃厚…。そんな川崎フロンターレを救ったのは、一陣の風のように駆け抜けた背番号5だった。

 後半も終了間際の90+6分、左サイドで佐々木旭がボールを引き受けた。背筋を伸ばし、大きくきれいなストライドから縦に突破した。

「内側を見せながら縦に行くのが自分の武器。相手が一度、背中を向けたので、その瞬間に縦に出ました」

 美しい所作のドリブルは、ただ美しいだけではなく、顔を上げて相手を観察できるという大きなメリットをもたらす。

 抜け出したところから、マイナスへと送る。

「2人がプレッシャーに来ていたので、そのまま普通に蹴っても当たるなと。相手の足の当たらないところを狙おうと思って。もう感覚です」

 結果的に相手に渡ってしまったものの、スピードのあるボールだったこともありクリアミスを誘う形になってゴール前にこぼれ、そこにいたラザル・ロマニッチが左足で落ち着いて流し込んだ。「ほぼアシスト」と言っていいだろう。

「やっぱり怖いところにボールを入れ続ければ何かが起きると思いますし、ロマニッチやマルシーニョ、(宮城)天もそうだけど、強い選手も入っていたので、どんどん入れ続ければ点にはつながると思っていました」

 追い詰められたあの場面で、鋭い突破と冷静なマイナスへの折り返しは、なぜ実現できたのか。それは観察と実践の結果にほかならない。

 川崎Fはキックオフからボールを回すが怖さに欠けた。いわば、ボール保持を得意とするチームのシンドロームである。だから、「怖くあること」が重要だった。75分から切り札として投入された佐々木はそのために、思い切ればよかった。

「外から見ていて、自分の中ではどこかで仕掛けるとか、思い切ってシュートを打つことが大事になってくると思っていたので、実践できてよかった」

 敗戦の縁からチームを救い出した「怖さ」。5年目のシーズンを迎えて、ますますその度合いを強めていくつもりだ。


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