上写真=絶体絶命の状況から逆転に成功した千葉! フクアリの奇跡を起こした(写真◎J.LEAGUE)
■2025年12月7日 J1昇格プレーオフ準決勝(観衆17,074人@フクアリ)
千葉 4ー3 大宮
得点:(千)カルリーニョス・ジュニオ、エドゥアルド、姫野誠、河野貴志
(大)泉柊椰、関口凱心、アルトゥール・シルバ
フクアリの奇跡!
勝たなければ、次ステージに進めない大宮はスタートから出力全開で攻めに出る。対する千葉も引き分けでもプレーオフ決勝に進めるが、ただ受け止めるのではなく、積極的にゴールを目指した。その結果、試合は前半から目まぐるしく攻守が入れ替わる、激しい展開となった。
最初のチャンスは10分。千葉の杉山が右サイドで粘りを見せ、クロスを上げるとカルリーニョス・ジュニオがバイシクル気味にシュート。惜しくも決まらなかったが、大宮ゴールに迫った。
ここからしばらく千葉の時間帯が続く。14分の右CKのシーンでは田口の入れたボールをニアで鈴木大が触って流れたところを、石川がダイレクトでシュート。GK加藤に弾かれてゴールはならなかったが、決定機を生み出した。17分にも杉山がボックス右からシュートを放つ。これまた加藤に防がれたが、序盤は千葉の攻勢が目立った。
しかし、最初にネットを揺らしたのは大宮の方だった。20分、左CKの場面で、津久井がボールを引き取り、左からファーサイドへクロスを供給。市原が頭が折り返したところに泉が飛び込み、ゴールを奪った。VARチェックを経て得点が認められると、スタンドの一角を陣取った大宮サポーターから大歓声が沸き起こった。
攻めるしかなくなった千葉は攻撃の手を強めんとしたが、大宮はそのマインドを逆手に取るように間、間にボールを動かしつつ、攻め返す。追加点を刻んだのは32分。ロングフィードを敵陣でものにすると、最後はカットインした右サイドバックの関口が左足一閃。ボックスの外からミドルシュートを叩き込んだ。
前半は大宮の2−0で終了。スコアが動いて以降は、イーブンのボールに対するアプローチの速さに違いが出て、大宮がことごとくセカンドボールを回収した。一方で千葉は次第にプレスがはまらなくなり、矢印を前に向けられない場面が目につくようになった。ハーフタイムを挟んで、修正を図りたいところだったが、大宮が後半開始直後にゴールを奪ってみせる。
48分、アルトゥール・シルバが右足を振り抜くと、ボールはボックス内の密集を抜けてゴール右隅に突き刺さった。
なるべく早い時間帯に1点を返す千葉の目論見は完全に崩れ、その差が更に広がってしまう。62分に途中出場の姫野がボックス内からシュートを放った場面では、またしても大宮の守護神・加藤に止められ、千葉は反撃のきっかけを掴めないまま、時計の針が進むこととなった。
ところが71分、エドゥアルドの浮き球パスをボレーで叩いたカルリーニョス・ジュニオのゴールによって1点を返すと、流れが一気に千葉へ傾いた。77分、ゴール前のこぼれ球に反応したエドゥアルドが強烈な右足シュートを決め、1点差に詰め寄ると、同点で決勝進出が決まる千葉の勢いがさらに増していった。
そして83分だった。自陣からのクリアボールをつなぐと、姫野が最終ラインを割って前進。最後はGKの頭上を越える浮き球シュートでネットを揺らし、ついに千葉が3−3の同点に追い付いた。
姫野はこの日がデビュー戦の17歳。値千金のゴールで決勝進出の権利を手繰り寄せた。勢いを増した千葉は、その4分後にもゴールを奪う。右CKに河野が飛び込み、ダイビングヘッド。千葉が勝ち越しに成功した。
試合はそのまま4−3で決着。一時は3点差をつけられながら、フクアリの奇跡とも呼ぶべき大逆転で、千葉は決勝進出を決めた。
他会場で行われていた4位徳島対5位磐田は、1−1の引き分けに終わった。この結果、J1昇格プレーオフ決勝のカードは、千葉対徳島に決定。奇跡を起こしてネクストステージの扉を開いた千葉は、2009年以来、17年ぶりのJ1復帰を目指す。
▼出場メンバー
・千葉◎GK若原智哉、DF髙橋壱晟、鈴木大輔、河野貴志、日高大、MF杉山直宏(60分:姫野誠)、田口泰士(73分:品田愛斗)、エドゥアルド(90分:前貴之)、イサカ・ゼイン(73分:米倉恒貴)、FW石川大地、カルリーニョス・ジュニオ(73分:呉屋大翔)
・大宮◎GK加藤有輝、DF関口凱心(70分:和田拓也)、村上陽介、市原吏音、下口稚葉、MFアルトゥール・シルバ(81分:貫真郷)、小島幹敏(88分:藤井一志)、泉柊椰(70分:谷内田哲平)、杉本健勇、FWカプリーニ、津久井匠海
