上写真＝伊藤達哉が6試合連続ゴール！ 今回は左足を振った（写真◎J.LAGUE）
■2025年9月13日 J1第29節（観衆：41,221人@日産ス）
横浜FM 0-3 川崎F
得点：（川）伊藤達哉、エリソン、宮城天
めちゃめちゃ効く
今季、日産スタジアムで最多の4万1221人を飲み込んだスタジアムで「神奈川ダービー」のピッチに立った伊藤達哉は、感慨深かった。
「すごくいい雰囲気で、こういう大きいスタジアムで入場するたびに、夢のある職業だなと本当にいまでも思いますし、その中で点を取って勝てて最高でした」
入場の瞬間の感激が冷めないうちに、そのゴールは生まれた。4分、相手のパスをカットしたファンウェルメスケルケン際がワンタッチで前へ。受けた伊藤がドリブルからゴール左に蹴り込んだ。
キックフェイントが効いた。
「最初は速いクロスを入れよう」と思ったが、中の状況を見て「パスしてもなんか違う」とキャンセル。「切り返したら相手が引っかかってくれて」シュートコースが空いて、「左足のシュートはうまくミートして入りました」とゴールを仕留めた。
これで、公式戦6戦連続ゴールで、この間、7ゴールと絶好調。ただ、それまでの6点は右足で決めたものだ。
「最近、点を取れてるんですけど、右足で取っていて、右足が警戒されているなと。だから、右足の切り返しがめちゃめちゃ効くなと思っていたんです。それで左足でもっと蹴れたらいいなと練習していたので、結構うまく入りましたね」
自らの好調ぶりを巧みに利用して「エサ」をまき、その逆で仕上げてしまう。ポジティブなサイクルがくるくると気持ちよく回っていて、止まらない。
山本悠樹も「達哉はそこに入っていくの？ みたいなところも1人でいけちゃうので、相手からしてもすごいやりづらいだろうし」と目を丸くするが、この日の先制ゴールを決めた「場所」は計算ずくでもあった。
「マリノスはサイドバックの鈴木冬一くんが内側のポジションを取って攻撃的なやり方をしてくるのは分かっていました。相手がどこまでそのリスクを負って攻撃するかを見ていて、うまく使えたかなと」
横浜FMの角田涼太朗がボールを持ち出してから前に出したパスが失速し、ファンウェルメスケルケン際に渡った。鈴木は攻撃に出ようと前にポジションを移していて、パスの受け手になろうとしていた。だから、その裏側はがら空き。そこに伊藤が抜け出した。スカウティングが面白いようにはまった。
「上位陣との直接対決も残っているし、僕たちが勝ち続ければまだ分からない」
残り9試合で首位との勝ち点差は7。絶好調のこの男が言うのだから、優勝争いは本当にまだまだ分からなくなってきた。
