上写真＝ひるまず強引に戦うのが山田新の魅力。初めての日本代表選出で気合十分だ（写真◎J.LEAGUE）
■2025年7月5日 J1第23節（観衆：23,675人＠U等々力）
川崎F 2-1 鹿島
得点：（川）伊藤達哉、マルシーニョ
（鹿）レオ・セアラ
「何が何でも勝つことだけを」
逆転のスイッチを入れたのは、山田新だ。鹿島アントラーズに先制されながら伊藤達哉のゴールで45＋4分に追いついて入った後半、58分にマルシーニョが逆転ゴールを奪った。
このシーンはマルシーニョが左から中央に入る超高速プレスで引っ掛けて、そこから河原創のピックアップ、山本悠樹のループパス、家長昭博のワンタッチパスと持ち味が重なって、最後にマルシーニョがプッシュして生まれた。
ほんの少しだけ時計の針を巻き戻すと、低い位置で回そうとしたDFに対して、迫力を持って猛然と襲いかかった山田のアクションからハイプレスが始まっているのは見逃せない。
昨年は19ゴールを決めて一気に注目を集めたストライカーが、今季はまだ2ゴール。悩ましい日々も続いた。
「難しさを感じてますけど、それ以外のところでもしっかり貢献しようと、まずチームの勝利から逆算して、点を取れれば一番大きいですけど、それ以外のところを頑張ろうと」
逆転ゴールのきっかけを作ったあのダッシュこそ、「それ以外のところ」の象徴だ。
E-1選手権に臨む日本代表に選ばれた直後のゲーム。「代表」と呼ばれるチームに加わるのは初めてだというが「試合を見て選んでくれたと思う」ともちろんプレーに自信はある。
ただ、その喜びとは別に、この日は鹿島に絶対に勝たなければならなかった。前回対戦で逆転負けを食らった相手は首位に立っていて、率いるのは昨年までのボスである鬼木達監督だ。勝つべき理由はいくらでもあった。
「代表のことは置いておいて、とにかく首位との戦いで、監督はオニさんでもありましたし、本当に大きな意味を持つ勝ち点3になると思っていたので、とにかく何が何でも勝つことだけを考えて臨みました」
体の強さが自慢で、なかなか倒れない。倒れても這いつくばってでもボールを自分のものにしようとする。ゴール前に飛び込むのに一切の躊躇がない。そんな持ち味をこの日も見せて、E-1選手権でも勝利のために日本代表に組み込みたい姿勢を印象付けた。
「海外の選手を相手にそこで違いを出さないといけないと思うし、起点になるプレーは求められると思う。そこはやりつつ、ゴールを意識してやっていきたい」
ホンコン・チャイナ、中国、韓国と8日間で3試合をこなすスケジュールで、その「献身的強さ」を見せつけるつもりだ。
