清水エスパルスは29日、J1第13節でFC東京と対戦し、アウェーながら2−0で快勝。4年ぶりの3連勝がかかった試合でチームを牽引したのは、確かな技術とプレービジョンが際立つ乾貴士だった。

上写真=チームの2点目となるゴールを決めて雄叫びを上げる乾貴士(写真◎J.LEAGUE)

おっさん組がなんだかんだで頑張れた

 敵陣深い位置から放たれたロングフィードを高橋祐治が頭で跳ね返し、弓場将輝が回収。弓場はすぐさま前方でフリーになっている乾貴士を視界にとらえ、縦パスを送る。

 そこからのプレーはまさに乾の独壇場だった。ドリブルでボールを運びながら周囲の状況を確認。寄せてきた岡哲平の股を抜くと、ボックス右から迷わず右足を振り抜いた。

 シュートをブロックすべく伸ばした岡の足に当たってコースを変え、ボールはゴールに吸い込まれた。乾は言う。

「マサ(弓場)からすごくいい縦パスが来たんで、あれでフリーでもらうことできましたし、前向くことができた。そういうシーンがなかなかなかったので。今日はああいうボールをずっと要求していて、あの時間帯でやっと受けられた。最初は(ドウグラス・)タンキに出そうかとタイミングを見ていたんですけど、ちょっと難しかったので、股抜きしてシュートを打った。シュートは(相手に)当たってたまたまですけど、2点目を取れたのはすごく大きかったですね」

 乾は謙遜したが、そのプレーは試合を通じて『効いて』いた。前半アディショナルタイムに北川航也の先制につながるPKを獲得したのも乾だ。

 マテウス・ブエノの浮き玉パスを高橋が頭で落とし、そこへ誰よりも早く反応。遠藤渓太のファールを誘ってPKを獲得した。

「最初はブエノとワン・ツーして入っていこうと思ったんですけど、返ってこなかったので、そのまま動き続けて。祐治がいい感じで落としてくれたんで、それにうまく反応できて。先に触ってしまえば引っかけられるか、蹴られるか、何か起こるかなと思って、先に触ることだけ考えていました。そうしたらうまいこと蹴られて(苦笑)」

 瞬時の判断と鋭い反応が結果的にチームが欲しかった先制点につながった。幾多の修羅場を潜り抜けてきた凄みが、36歳になった乾にはある。

「今はすごくけが人が多くて、(宇野)禅斗なんかはセンターバックをほとんどやったことがないのにやってくれてますし、左サイドバックは(吉田)豊(35歳)がおっさんなのに頑張って連戦も出ていたりとか、右も北爪(健吾/32歳)もなんだかんだでずっと出て。おっさんなんであいつも(笑)。おっさん組がなんだかんだで頑張れた連戦だったりもしているので、みんなでちょっとずつカバーし合いながらやれてることが、この3連勝にも繋がってるんじゃないかなと思いますね」

 ベテラン、中堅、若手が一丸になって戦い、J1では4年ぶりの3連勝。好調なチームの中にあって、乾は圧倒的な存在感を示している。


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