上写真=川崎Fでのリーグ戦初出場となった大関。シュート1本を放つも無得点、チームを勝利に導くことはできなかった(写真◎石倉利英)
■2025年3月16日 J1リーグ第6節(@JFEス:観衆13,699人)
岡山 0-0 川崎F
「もう少しですね。次に期待します」
試合後の取材エリアで、まず「悔しいJ1デビューになったなという感想です」と語った。スコアレスで迎えた62分にMF山本悠樹との交代で出場すると、2列目の中央へ。「(0-0で)得点が欲しかった状況ですし、トップ下の位置に入ったので、ゴール前でのかかわりやシュート、得点を奪うところで決定的な仕事をすることを意識して入った」と振り返ったが、70分の左足シュートが右に外れるなど結果を残せなかった。
川崎FのU-18から2023年にトップチーム昇格を果たしたものの、1年目の公式戦出場はAFCチャンピオンズリーグの1試合のみで、昨季はJ3の福島ユナイテッドFCに育成型期限付き移籍した。ここでリーグ戦32試合に出場して8得点と結果を残し、川崎Fに復帰。今季序盤はU-20日本代表の一員としてU-20アジアカップに出場、全6試合に出場してU-20ワールドカップ出場権獲得に貢献し、確かな成長の跡を見せていた。
その後、3月5日のAFCチャンピオンズリーグエリート・ラウンド16第1戦での途中出場を経て、待望のJ1デビュー。出場する前は「なかなかビルドアップがうまくいかず、相手の圧をすごく感じていたので、プレーする場所をもう少し前にしてもいいかなと思っていた」という。出場後は「ボランチで入ったら、とにかくボールにかかわること、引き出すことを意識しようと思っていましたが、トップ下だったので、どちらかというと下がり過ぎず、山田新選手と近い位置でできれば、と意識していた」との狙いでプレーしたが、不発に終わった。
長谷部監督は試合後の会見で「代表で(クラブを)離れていましたが、実のところ、その前のキャンプで非常に良かったんですね。そこからの継続で代表でも良かったし、帰ってきても良い」と好調ぶりを説明。ただ、この日を最後に再びU-20日本代表のスペイン遠征でクラブを離れるため、「また今日から行ってしまう。これはタイミングとして活躍するんじゃないか、点を取るんじゃないか、アシストするんじゃないか、と思って出したんですけど」と語った直後に「しませんでしたね」と、口調こそ少し冗談めいてはいたものの、表情を変えずに続けた。
さらに、会見冒頭で前半にチーム全体の出来が低調だった要因として、雨が降っている状況で「ピッチと自分の感覚、選手のフィーリング、スパイクの感覚、そういうところが少し良くなかった」と挙げたことを踏まえ、大関の出来を「少し気負いというか。やはり彼もこの(濡れた)ピッチに少し悩まされていたのか、彼らしくないミスも少しあった。そこは順応性というのか、選手の一つの要素」と指摘。「高いレベルでできる選手は、そういうことにも順応していく能力が高い。今日は私たちの選手は、少し低かった。その中の一人だったと思います」と評した。
それでも指揮官は最後に「でも十分、彼の存在感みたいなものは出せていた。空気、雰囲気は出していたので、もう少しですね。次に期待します」と締めくくった。期待を集める弱冠20歳の俊英が、スペイン遠征から帰国後に川崎Fでどんなパフォーマンスを見せるのか注目される。
取材・写真◎石倉利英