上写真=攻撃のタレントたちを気持ちよくプレーさせる鈴木徳真の存在は大きい(写真◎J.LEAGUE)
■2025年3月16日 J1第6節(観衆23,169人/@日産ス)
横浜FM 2-0 G大阪
得点:(横)遠野大弥、植中朝日
「すべての面で上回ることができた感覚が」
横浜F・マリノスに0-2で敗れた試合のことを、ガンバ大阪のダニエル・ポヤトス監督は試合後の記者会見で「悲しくて痛い敗戦」と表現した。
「すべての局面において自分たちがマリノスさんを上回っていたんじゃないかなという試合展開でした。データはまだ見てないですけど、スタッツもいい数値が出たんじゃないかなと思っています。そういった意味でも、すべての面で上回ることができた感覚があります」
例えばシュート数は、公式記録では横浜FMの7に対して、G大阪は実に20。イッサム・ジェバリが4本で、山下諒也と宇佐美貴史が3本ずつ。半田陸が2本で、ほか8人が1本ずつ。先発したフィールドプレーヤー全員がシュートを放っていて、交代でデビューしたデニス・ヒュメットも1本打っている。確かにビッグチャンスが多い攻撃的な90分だった。
だからこそ、どうしてもゴールを破ることができずに負けたことは「悲しくて痛い」のだ。
ビッグチャンスの一つ、64分に右からのクロスに合わせて強烈なダイレクトボレーで狙ったのが、ボランチの鈴木徳真だ。GK朴一圭のセーブに阻まれたものの、この日も中盤でボールを引き出して走らせ、回収し、その圧倒的な攻撃においてボールとともに軽快なビートを刻んでいた。
ただ、鈴木自身の実感はそこまで絶対的ではないようなのだ。
「結果的に、勢いでそういう形になってるところもあるとは思うんです。あれが再現性高くできるかと言ったら、なんか通るから行く、行けるから行く、みたいなところもあるのかなと。そこはしっかり整理しなければいけないですし、何ができて何ができなかったか、どうしてできたのか、ということをみんなが分かると全員ができるようになると思うので、そこが大切です」
G大阪の攻撃は「全方位アタック」とでも言えそうなもので、サイドからも中央からも、手前からの崩しも裏抜けも、クロスもスルーパスもカットインもエアバトルも、あらゆる場所からあらゆる方法でゴールへ向かう楽しさがあった。
でも鈴木の目から見ると、偶然性に多くを頼ることになった組み立てもあったというのだ。
より論理的に攻撃を構築していくために、鈴木がやるべきこと。それはくっきりと言語化できている。
「チーム全体がやりやすい環境を作るのが僕の仕事だと思っています。そこを作りながら、今日はこの人はこういうプレーができるな、今日はこういう人がこういうプレーをするんだな、というのを見ながらプレー選択をしています」
「見ること」に続いて、自分自身のプレーによってチームをワンランクアップさせるために、いま何をしようとしているのか。
「こういう形ができてくると、もう少し僕が前に入っていったり、今日1本僕がボレーで打ったシーンのように、前に出ていってシュートを打つ形ができてくると思います。そうすると、アシストやゴールという結果が必要になってくるかな、と。もう一つ求めるなら、そこになってくると僕は思ってます」
仲間を気持ちよくプレーさせながら、自らのゴールやアシストで快哉を叫ぶ。G大阪が先のステージに進むために、そのことを自らに厳しく求めている。