上写真=エリソンはパワーだけではなく、ていねいなアシストも見せた(写真◎J.LEAGUE)
■2024年9月27日 J1第32節(@U等々力/観衆20,142人)
川崎F 5-1 新潟
得点:(川)エリソン2、脇坂泰斗、山田新2
(新)太田修介
「パワフルにプレスをかけるようにと」
「闘牛」エリソンも、口を開けば温厚な優等生だ。
「今日の結果をすごくうれしく思っています。個人的なところよりも一番重要なのはチームの勝利。Jリーグではもっともっと勝ち点を積み上げられるようにやっていきたいと思います」
2ゴール1アシストで5-1の圧勝劇の主役になったストライカーは、にこりと笑った。
14分にじっくりと時間をかけてPKを左に決めると、63分にはこの人らしいパワーショットだ。カウンターで山本悠樹が持ち運び、右へ。引き受けたエリソンはペナルティーエリアに入って左足を鋭く振り、対峙したトーマス・デンの股下を抜く強烈なシュートでねじ伏せた。山本のスパイクを磨くパフォーマンスも飛び出した。
直後の65分にはアシストだ。ビルドアップにもたつくデンを右の高い位置で捕まえると、ボールを力強く奪って優しく前へ。走り込んだ山田新がそのまま右上角を射抜くクリーンシュートを決めた。
「同じようなパワーを持ったツートップで今回挑みました。監督からは自分たちの特徴を生かしてパワフルにプレスをかけるようにと要求されていました。それがうまくハマってプレスをかけられたと思います」
新潟のビルドアップのスタート地点であるセンターバックのデンと舞行龍ジェームズはうまいが、足元にボールを置くスタイルだ。川崎Fは4-4-2システムに変更してまで強くて速いこの2人を最前線に並べることで、そこを抑えて新潟に流れを生み出させないことに成功した。
今季加入して、そのパワフルなスタイルでJリーグを席巻するかと期待されたが、鬼木達監督によればなかなかコンディションが上がってこなかったのだという。それが、同じスタイルの山田新というパートナーを得て結果を残したことはとても大きい。苦しむチームにとっても、巻き返したい自分自身にとっても。
「どんなときでも自分のやるべきこと、できることを精一杯やっていくという性格の持ち主です。とにかくいかなるときでも、いつチャンスが来てもいいように準備をしてきたつもりで、こうやって、自分のところに舞い込んできたチャンスを生かすことができてよかった」
新潟とは10月にルヴァンカップ準決勝でまたも戦う。
「今日、このような結果にはなりましたけど、次の2試合がどうなるかは分かりません。今日以上のものを持って戦っていかないと、今日のような結果にはつながらない」
新潟にとってはなんとも厄介な、川崎Fにとってはあまりにも頼もしい「闘牛」の覚醒である。