原口元気が埼玉スタジアムに帰ってきた。9月21日の明治安田J1リーグ第31節のFC東京で61分にピッチに立った。だが、0-2からスコアを動かせずに完封負け。「静か過ぎる」というチームを変えるために、チーム全員に求めるのは情熱だ。

上写真=原口元気は「僕自身に対しても厳しい目で見なければ」(写真◎J.LEAGUE)

■2024年9月21日 J1第31節(@埼玉/観衆41,379人)
浦和 0-2 FC東京
得点:(F)オウンゴール、荒木遼太郎

「苦しいときに何かを出せるのかが大事」

 61分、原口元気が埼玉スタジアムのピッチに立つと、万雷の拍手。

 実に3765日ぶりとなるホームスタジアムへの凱旋に「お帰りなさい」の気持ちが込められていたが、もう一つ、「なんとかチームを奮い立たせてくれ」の意味もあっただろう。0-2でビハインドを負ったタイミングでの「復帰」だったからだ。それは、本人も強く感じていた。だから、

「流れを変えたくて、一刻も早くピッチに立ちたかった」

と待ちきれなかった。

 ただ、そこからもゴールは生まれずに、スコアを動かすことができなかった。

「何回かいいプレーはあったと思いますけど、流れを変えるほどではなかったし、結果が変わったわけでもないので、僕自身に対しても厳しい目で見なければならない」

 10年ぶりに愛するクラブに戻ってきて、反逆の魂を結果として見せることができず、自責の念は強い。

「もちろんチームとしても、ホームで0-2で負けるっていうのはあまりにも不甲斐ない。失点のあとのリアクションを含めて、あまりにも静かすぎる。パワーが足りないかなと思いました」

 それは、キックオフの前から感じていたことでもあった。

「試合前も全体的に静かでしたね。ホームゲームなので、自分自身は情熱的にプレーしたいですけど」

 9分のオウンゴールは確かに不運だったが、17分にはPKを決められて、あっという間に2点を追いかける立場になった。マチェイ・スコルジャ監督が帰ってきて2試合目だが、整備してきたはずの守備が思わぬ形で破られた。

「例えば完成度がものすごく高いチームであっても、2点ビハインドの状況はかなり難しい。2失点がかなり重かったのは正直あるかなとは思います」

 だとしても、と続ける。

「だとしても、ホームゲームですし、これだけたくさんのサポーターがああいう雰囲気を作ってくれる中で、あまりにもパワーがないし勇気も足りなかった」

 浦和のアカデミーの後輩でもある関根貴大も、同じことを感じていた。

「(PKにつながる)コーナーになったシーンも、相手に数的優位を作られて、自分たちが全部後追いになってしまって、セカンドボールを拾われて、という流れからでした。そういうときに1失点して、チームが沈んだときに、リーダーシップを取ってどう流れを持っていくかは大事だし、逆に言えば、すごく言い合ってはいましたけど、ネガティブな言葉が多いとダメですし、もっと盛り上げていくためにはポジティブな声がけが必要だと思いました」

 このチームにはいま、強烈なリーダーシップを放つ誰かが必要なのか。それとも、支え合って話し合って進んでいくのか。原口がいまのチームに求めたいのは、前者だ。

「球際の部分でも、守備でハメにいっていてもハマらない。それは強度の部分もコミュニケーションの部分もあると思う。もっと誰かが引っ張っていくようなね。(前節の)ガンバ戦のように、勝っていて目の前に勝利があったり、頑張れば何かがつかめるときにはみんな頑張れますけど、ああいう苦しいときに何かを出せるのかが非常に大事だと思うので、また難しい状況になりましたけど、そういうところから戻って来ることができるようなメンタリティーをなんとか作っていきたいですね」

 そのために帰ってきたという決意もある。

「今日は4万人以上が入ってくれたから、ここで素晴らしいゲームをして、本当に強い浦和が戻ってきたかもしれないという思いにさせたかった。ここで一回、鼻を折られて、次も難しい神戸が相手ですけど、もう1回いいリアクションを見せなきゃいけない」

 原口を先頭に、情熱的な戦いで浦和が生まれ変わらなければならない。


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