8月30日の明治安田J1リーグ第29節、浦和レッズは首位のFC町田ゼルビアに対して終了間際に同点弾を浴びて2-2に終わり、勝てた試合を落とした。監督交代の余波で、渡邊凌磨はボランチとしてフル出場。しかし、勝利をもぎ取れなかった自分たちのミスを見過ごすつもりはなかった。

上写真=渡邊凌磨はボランチとして起用され、その適応力を見せた(写真◎J.LEAGUE)

■2024年8月31日 J1リーグ第29節(@国立/観衆48,887人)
町田 2-2 浦和
得点:(町)オ・セフン、エリキ
   (浦)関根貴大、チアゴ・サンタナ

「仕方ない、で片付けたくない」

 2-1でリードして迎えた90+3分、松尾佑介がゴールネットを揺すった。相手のCKを防いでからの超高速カウンター。松尾がぐんぐんとドリブルで進み、GK谷晃生を左にかわして送り込んだが、3点目になるはずのゴールは認められなかった。サポートに入った二田理央が走りながら下田北斗を引き倒したアクションが、ファウルの判定になった。

「ああいうところの理央のプレーは、これからちゃんと経験として生かしていってほしい。仕方ない、という言葉では片付けたくないんで、浦和の選手として試合に出ている以上、そこはちゃんと学んでほしいなと思います」

 渡邊凌磨は隠すことが悪であることを知っている。それは二田についてだけの話ではない。渡邊自身も含めた全員に当てはまる。90+8分、町田のロングキックからの最後の攻撃でゴールを許して2-2となり、勝利を逃した。

「もちろん勝てた試合だけど、本当に小さなミスでああいう失点は生まれる。拮抗した試合は特にちゃんと自分たちに矢印を向けて、ミスした選手は自分に矢印を向けてやっていかないといけない。もちろんチームのみんなで救うということもあるけれど、個人のところもやっぱり大事なので、甘やかす必要は僕はないと思ってます」

 8月27日にペア・マティアス・ヘグモ監督が契約解除され、マチェイ・スコルジャ監督の復帰が決まり、その間は池田伸康コーチが暫定的に指揮を執ることになった。今季、念願の浦和の一員になった渡邊にとっては、ここまですべての試合で起用してくれたヘグモ監督との別れになった。

 するとこの日は、ボランチでのプレーになった。今季は左サイドバックをはじめ、インサイドハーフやトップ下、左右のウイング、2トップの一角に近いポジションなど、どんな役割でも柔軟に適応してきた。この日、指揮を執った池田監督はスコルジャ監督と意見が一致した上でボランチに起用したと明かし、「賢い選手だから」と絶賛している。

 だが、ピッチの中央で試合をコントロールしきれずに最後に勝利を逃したことで、ボランチとしての反省が口に出る。自分自身を甘やかすつもりももちろんない。

「後半は相手がボランチに1枚ついてきて、元々ボランチ1枚で回してたので2枚で回そうと(安居)海渡と話をしていたんだけど、後ろの選手との意思疎通が取れなくて、後ろはボールを前に蹴りたい、僕らはつなぎたい、ということになった。そこは次に積み重ねていくことがすごく大事。勝つためにチームで話し合っていく必要があると思います」

 ここからはボランチが主戦場になるかもしれない。

「もちろん監督の言ったことをやるのは当たり前だけど、試合の中で誰が出した矢印に向いていくかも大事。そういう矢印を僕が中心に出していければいいと思います」

 苦境に陥ったいまのチームを引っ張っていくという強い決意を、そんな言葉で表現する。そして、「やることは別に変わらない」と平然とこなしていくボランチとして、新境地も見えている。

「点を取れるボランチになれればいいなと思います」


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