浦和レッズが5連勝だ。5月3日の明治安田J1リーグ第14節では東京ヴェルディを2-0で下したが、ここまでの連勝の立役者、サミュエル・グスタフソンが欠場。代わりにボランチに入ったのが松本泰志だ。得意とする背後へのランニングで輝いて、勝利に貢献した。

上写真=浦和は「ボランチ松本泰志」でゲームをコントロールした(写真◎J.LEAGUE)

■2025年5月3日 J1第14節(観衆:52,429人@埼玉)
浦和 2-0 東京V
得点:(浦)松尾佑介、渡邊凌磨

「いい仕事をしてくれました」

「4連勝していてスタメンで変わったのは僕だけ。ほっとしました」

 4連勝で迎えた東京ヴェルディとのホームゲームで、好調を支えてきたサミュエル・グスタフソンが欠場。代わってボランチに入った松本泰志は、そんな心持ちで90分間を戦い続けたのだという。

「チームが勝って、本当に良かったです」

 緊張も一緒に吐き出すように安堵して、はにかむ笑顔に実感がこもった。

 松本をボランチで起用したマチェイ・スコルジャ監督は、その働きを手放しで褒めた。

「泰志はいい仕事をしてくれました。サミュエルが好調でしたから、泰志にとっては簡単なタスクではなかったと思います。でも、今日は本当によくやってくれて、特にDFラインの背後に抜けるランニングは素晴らしかった。泰志にとっていいゲームでしたね」

 3列目から仕掛けて敵陣深く入り込んでいくランニングは、相手のマークがついてくるのが難しく、効果的だ。ここは間違いなくグスタフソンとは異なる能力である。

「サミュエルにはなれませんからね。自分のできることはチームのバランスを取りながら、走力というストロングポイントを出すこと。それは意識していました」

 今年、浦和に加わって2列目で起用されることがほとんどだったが、実はボランチでのプレーを望んでいたと明かす。

「このシステム(4-2-3-1)だとトップ下が1枚だけなので、広島時代の3-6-1のときとは違って難しいところもあったんです。だから、ここでボランチをやりたいなと思っていて、それで勝てたことが何よりです」

 のびのびとプレーできたのは、その思いがあったからでもある。最終ラインに近いところまで何度も下がって受けたのは、相手を誘い出すチームのプラン通りのアクション。そこからパートナーの安居海渡に背後を任せて、するすると駆け上がる姿ははつらつとしていた。

「それが自分の持ち味ですし、ボールが出てこなくても繰り返すことによってほかの選手が使えるスペースは空いてきますから」

「走り勝てる自信はあります」

 この日も先制点を挙げるなど、華々しく活躍する1トップの松尾佑介は好調の象徴的存在だ。このFWとグスタフソンが揃って先発してから、連勝しているからである。

 今回はグスタフソンがいなかった。それでも攻撃の出力は落ちなかった。松尾は松本の貢献をその理由の一つとして称える。自らが左右に流れて作ったスペースに、松本がどんどん入り込んできたのだ。

「彼はどっちかというとボックス・トゥー・ボックスの選手。今日の相手の5-4-1のブロックを崩すには、そういった動きが必要でした。いいタイミングのランニングで攻撃の厚みができて、バランスが良かったと思います」

 ボランチに並んだ安居は、グスタフソンとは違うコンビにも不安はなかった。

「2人ともサミュエルの役割をするというよりは、自分たちの持っているものを出していこうという感じだったので、それが出てたんじゃないかなと。相手がずっとボールを追ってくるのは分かっていたので、出てきた選手の背後を使うところはできていたと思います」

 その背後を取りにいった一人が、まさしく松本である。3列目から飛び出すことのメリットはよく知っている。

「3列目からだとより飛び出しやすいというか、2列目からだとマークにつかれていることが多いんですけど、3列目からなら相手のトップ下とかボランチがついてこなければいけない状況になるので、そこで走り勝てる自信はあります」

 2-0で迎えた後半は前半ほどはスムーズではなく、そこに反省もある。松本自身も、出ていってからのもう一仕事を課題として自らに提示する。

「もうちょっとゴールに近いところで裏抜けしたいんです。そのためにはチームで押し込んでボールを回しながら、タイミングを見て出ていく必要がある。あとは、裏を取ったところからどこにクロスを上げるのかは、もう少し合わせる時間が必要かもしれません」

 グスタフソンならパスを差し込む技術で前進できるし、松本ならダイナミックなランニングで守備ラインを突破できる。これまでの「ボランチ渡邊凌磨✕トップ下松本泰志」よりもその逆のほうが有効であることも端々に示すことができたし、とにかく走ってボールを絡め取る安居の個性もある。

 浦和の中盤がバリエーション豊かになってきた。


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