明治安田J1リーグ第10節が27日行われ、札幌ドームでは北海道コンサドーレ札幌と湘南ベルマーレが対戦。前節終了時点で最下位ながら公式戦4戦負なしの札幌と18位で8戦未勝利の湘南の対戦は、前半の2点、後半に1点をスコアした札幌が3点差をつけたが、湘南が終盤に怒とうの反撃をみせて追いつき、ドローに終わった。

陣形をかえてペースをつかんだ湘南

画像: アディショナルタイムにチームを救うゴールを決めた鈴木雄斗(写真◎J.LEAGUE)

アディショナルタイムにチームを救うゴールを決めた鈴木雄斗(写真◎J.LEAGUE)

 3点差は、札幌にとって理想以上の展開だったかもしれない。

 だが、湘南は全く諦めていなかった。直後の選手交代を機に反撃に出る。畑投入のタイミングでシステムを4−4−2から3−4−2−1に変更。守備の局面ではがっちり人をつかみ前から圧力をかけるように手を打った。すると67分、後方からのボールを右サイドで粘って収めたルキアンのクロスに左アウトサイドの畑が飛び込み、まず1点を返す。このゴールで勢いを得ると、湘南は終盤にかけて怒とうの攻撃を見せ始める。

 85分、左サイドバックから左CBにポジションを変えていた杉岡が敵陣左サイドに進出し、そのやや内側でパスを受けた茨田がボックス右へ浮き球パスを供給。大岩が頭で折り返し、そこに福田が飛び込んでヘディングシュート。アイディアと技術の詰まったコンビネーションで、湘南が1点差に詰め寄った。

 終盤は札幌守備陣は受けに回ることが多く、疲労もあってアプローチの鋭さが見られなくなっていた。距離感が悪く、選手の間に簡単にボールを通され、湘南の選手に自由に走られた。経験豊富な宮澤がいれば引き締められたかもしれないが、挽回のきっかけをつかめぬまま、チーム全体がずるずると後退してしまう。

 6分と表示されたアディショナルタイムも札幌は苦しい展開が続く。対照的に湘南は押せ押せの状態となる。そして90+3分、札幌側のネットが揺れた。

 湘南の右CKの場面。杉岡が入れたボールがファーサイドまで流れてきたところを鈴木雄が蹴り込んだ。週中にルヴァンカップがあり、中2日で試合に臨みながら、最後まで湘南は諦めず、食らいついていった。結果、3点差を追いつき、同点に持ち込んだのだ。

 試合は3−3で終了。湘南の山口智監督は前半を「試合が終わってもおかしくない状態」と語り、課題を口にしたが、その状態から追いついた点は評価した。対する札幌は、3−0から追いつかれた事実が示す通り、対処を誤ったと言わざるを得ない。マンツーマンを守備の基本としているが、相手の選手交代と陣形変更を把握し、整理する間もなく失点し、終盤には足が止まってさらに失点を重ねることにもなった。

 同じ引き分けにしても追いついた湘南と追いつかれた札幌ではその意味が異なる。2ゴールをあげた青木も勝ち切れなかったショックの大きさから、試合後は口が重かった。勝ち点3をつかみかけながら、結果は勝ち点1。札幌からすれば、2ポイントを落としたようなものだろう。

 次戦、札幌はアウェーで好調セレッソ大阪と、湘南もアウェーで鹿島と対戦する。ともに、なかなか手にできない今季2勝目を目指すが、札幌は土壇場で追いつかれたショックを払拭できるか。湘南は、追いついたというポジティブな結果を勝利へにつなげられるか。勝てばともに降格圏脱出の可能性もあるーー。

取材◎佐藤景

▼出場メンバー
・札幌◎GK菅野孝憲、DF馬場晴也、宮澤裕樹(46分:家泉怜依)、中村桐耶、MF近藤友喜、駒井善成、荒野拓馬、青木亮太(86分:キム・ゴンヒ)、浅野雄也、スパチョーク(71分:高尾瑠)、FW鈴木武蔵(71分:小林祐希)

・湘南◎GK馬渡洋樹、DF鈴木雄斗、大岩一貴、キム・ミンテ、杉岡大暉、MF池田昌生(46分:福田翔生)、髙橋直也(77分:茨田陽生)、奥野耕平(46分:山田直輝)、平岡大陽(61分:石井久継)、阿部浩之(66分:畑大雅)、FWルキアン


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