上写真=圧巻のプレーを披露した松木玖生(写真◎Getty Images)
中2日も…言い訳にできない
55分。流れるようなコンビネーションの中で輝いた。左サイドでバングーナガンデ佳史扶からのワンタッチパスを受けると、ゴール前を確認。左足で狙いすましたクロスを送り、仲川輝人のヘディングゴールを導いた。
90+7分。鹿島のMFミロサヴリェヴィッチの中途半端なクリアに原川力が反応。頭で前線に送ったボールを収めると、ボックス手前に勢いよく走り込んできた原川にリターンのパスを送り、ダメ押しのゴールをお膳立て。
「1点目に関しては、佳史扶くんからボール受けた時にピーター(・クラモフスキー監督)から個人的に求められるところで、あそこからだったらアーリークロスも狙っていけと言われていた。テルくん(仲川)が走っているのが見えて、うまく合わせられてよかったと思います」
「(2点目は)あれはもう、(原川)力くんがスーパーアシストつけてくれて、ありがとうございますという感じです」
チームに勝利をもたらした2つのゴールは、いずれも松木玖生のアシストによるものだった。
67分のプレーも圧巻だった。自陣でボールを拾うと、相手ボランチの知念慶の執拗なチャージをワンハンドで振りほどき、力強く前進。左サイドを走る遠藤渓太にパスを送って、仲川のシュートにつなげた。ゴールは決まらなかったが、簡単には倒れず、ゴールを目指す意思を感じさせるプレーにスタンドが沸いた。
攻撃だけではない。4−2−1−3のトップ下で先発し、高い位置で圧力をかけて鹿島のビルドアップを何度も阻んだ。本人は「前半ちょっと引きすぎていた感じはあったんで、そこはちょっと課題ですし、もっとセンターバックを押し出して、プレスをかけたりできたかなとは思う。自分的にはあまりプレスはうまくいってなかったという感じ」と振り返っていたが、その前向きな守りがもたらした効果は大きい。
松木がボランチからトップ下にポジションを移した4節の福岡戦以降、チームは3勝1敗。小泉慶と高宇洋の2ボランチと松木が構成する中盤の正三角形は、互いの役割が整理され、一方で補完関係にもあり、うまく機能している。開幕から3戦未勝利だったチームが好転した要因の一つと言えるだろう。
いい流れをつくって、松木はここからしばらくチームを離れることになる。U23日本代表の一員として『AFC U23アジアカップ』に出場するためだ。
パリ五輪出場のかかる同大会で勝ち進めば、荒木遼太郎、野澤大志ブランドンとともにルヴァンカップも含めれば最大で5試合、欠場することになる(U23アジア杯は4月15日から5月3日まで)。FC東京にとっては当然、彼らの不在は痛い。だが、指揮官もチームメイトも国を代表して戦う松木たちにエールを送る。
「一発勝負なんで、中2日の疲労もあるかもしれないですが、そういうのは言い訳にできないですし、1試合を大切に戦っていけたら」
パリ五輪出場を決めて凱旋となるか。理想的なチーム復帰は、5月6日の札幌戦となる。