上写真=24分、脇坂泰斗の驚きのミドルシュートで川崎Fが同点に追いつき、リズムを奪い返した(写真◎J.LEAGUE)
■2024年2月24日 J1リーグ第1節(@レモンS/観衆12,987人)
湘南 1-2 川崎F
得点:(湘)池田昌生
(川)脇坂泰斗、エリソン
湘南はルキアンの存在感大
試合が動くのは早かった。湘南が7分、池田昌生のミドルシュートで早々に先制すれば、川崎Fが24分に脇坂泰斗がこちらも強烈なミドルシュートを突き刺して同点に追いつく。神奈川ダービーは一進一退だった。
湘南は4バックで最終ラインを組み、その前にも4枚並んで最前線に2トップが立つ4-4-2のバランスの良い立ち位置で川崎Fを迎え撃った。特に攻撃では右サイドバックの鈴木雄斗が高く張り出して、右サイドハーフの池田、右ボランチの茨田陽生、右FWの鈴木章斗と距離感よく連係して、ポケットに進入していった。
ただ、勝負は意外なところで動く。56分に湘南のGK富居大樹がバックパスの処理にもたつくところを、川崎FのFWエリソンが猛然とプレス、抜け目なく奪うと、そのまま無人のゴールに流し込む逆転ゴール。新エースの献身性が形になった瞬間だった。
湘南の4バックはいわば「川崎Fシフト」とも言えたが、川崎Fがそれを打ち破ったのはやはり技術力の高さ。前半はボールが足につかない場面も多かったが、鬼木達監督も「シンプルにボールを動かそう」と話して送り出した後半は、時間が経つにつれてこなれてきて、本来の技術やコンビネーションがピッチに描かれるようになった。AFCチャンピオンズリーグの2試合とFUJI FILM SUPER CUPを合わせてすでに公式戦4試合目で、新戦力もフィットしてきた。その「経験値」が後半に現れたと言えるだろう。
湘南もチャンスはあった。最前線にルキアンが加わったことで思い切ってボールを前に送って、高い位置でポイントを作れるようになったのは収穫になる。
70分に前線でルキアンが収めてから田中、鈴木淳之介とつないでミドルシュートがゴールに吸い込まれたシーンはその一つ。これはシュートが阿部浩之に当たったポジションがオフサイドだったために取り消されたものの、タフなセンターフォワードの存在感が生んだビッグチャンスだった。
ただ、スコアはこのまま変わらずに、2024年最初の神奈川ダービーは川崎Fが勝利。ACLでの衝撃的な敗退を乗り越えて、「全勝する力はある」と脇坂泰斗が胸を張った新チームで、3年ぶりのチャンピオンへ好スタートを切った。