25年前にFC東京が誕生したその日に、アカデミー育ちのアタッカーが衝撃のゴールを決めた。10月1日の明治安田生命J1リーグ第29節、ガンバ大阪を迎えた一戦で、俵積田晃太が自陣からドリブルで相手を置き去りにして、ゴール右上に決める極上の一発を決めてみせた。

上写真=俵積田晃太が2試合連続ゴール。衝撃の一発だった(写真◎J.LEAGUE)

■2023年10月1日 明治安田生命J1リーグ第29節(@味スタ/観衆30,521人)
FC東京 3-0 G大阪
得点:(F)原川力、ディエゴ・オリヴェイラ、俵積田晃太

背番号33の後半33分

 歴史を彩るど派手なゴールが生まれたのは78分、つまり後半「33」分のことだ。

 FC東京の25周年を祝う試合で、アカデミー育ちの背番号33、俵積田晃太がガンバ大阪を突き放す3点目を奪って、最高のお祝いだ。

「25周年に少しでも貢献できたから、よかったかなって」

 はにかむように振り返ったが、そのゴールは圧巻のプレーで奪い取った。

 相手のロングボールを長友佑都がヘッドではね返し、それを自陣で拾うとそのまま前に持ち運んだ。後ろから追いかけてくるイッサム・ジェバリを振り払うように左に進路を取り、前に立った髙尾瑠にコースを狭められスピードダウン、追いついてきたジェバリと2人に挟まれた。万事休す、かと思われたのだが、俵積田はヒールでボールをつつき、するりと抜け出したのだ。そのままゴールへと突き進み、ペナルティーエリアに入って右足でゴール右上にていねいに送り込んだ。

「ドリブルし始めて、股抜きもそうですしシュートもそうですし、全部が狙い通りにいってよかったなと」

 すべての判断に迷いがなかった。

「あの状態になったらこういうプレーで、というのが瞬時に判断できたので、よかった」

「中を見たときに通せる気がしなかったし、第1にシュートを決めたいという気持ちはあったので、シュートを打って入ってよかったです」

 振り返る言葉は短くシンプルだが、「前節よりは緊張せずに打てました」と安心の表情も見せる。

 前節はサガン鳥栖に2点を先行されながら、後半に追いついたあとに、自らのJ1初ゴールで逆転して、最高の勝利を手に入れた。そして今度は、とどめの一撃だ。

 25周年という節目の試合に、アカデミー育ちのアタッカーが、最高のゴールを決めてみせる、というストーリーは美しい。

 ただ、それは周囲の期待の眼差しであって、本人は「そういういろいろな気持ちというか、自分の余計な感情というのはなく、そのままできたのでよかった」と自然体を強調する。

 ルーキーながら、軽やかにすり抜けるスラーロムドリブルを武器に、シーズン序盤から出番は少なくなかった。これがリーグ戦24試合目の出場となる。前節の初ゴールと今回の記念のゴールが、とてつもない自信になるだろう。

「自分の形でもあるのかなと思いますし、ドリブルから点を決められたのは自信にもなると思って、これからの試合にもああいうプレーを出してみたいなと思います」

 初ゴールはこぼれ球に鋭く反応してプッシュして決めた。今度は自らの力強いドリブルからだった。バリエーションが増えてきた。

「全試合で1ゴールを決めたいと思いますけど、ゴールだけじゃなくてチームに貢献するプレーとかアシストだとか、いろんなプレーをしていきたいなと思います」


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