明治安田生命J1リーグの第25節が26日に行われ、FC東京と神戸は国立競技場で対戦した。試合はFC東京が先制するも、アディショナルタイムに3点が入る目まぐるしい展開となり、2−2のドローに終わった。

上写真=最後の最後まで激しい展開となった試合は2−2で決着した!(写真◎Getty Images)

■2023年8月26日 明治安田生命J1リーグ第25節(@国立競技場/観衆48,634人)
FC東京 2-2 神戸
得点者:(F)ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン
    (神)大迫勇也、山口蛍

松木が痛恨のPK失敗

 昨季からFC東京は国立競技場で戦った3試合全てに勝利。験の良い場所での戦いがそうさせるのか、相手は優勝争いの渦中にある2位神戸だが、10位のFC東京のプレーは自信がみなぎり、試合のスタートから気迫がこもっていた。長友は対面する元FC東京の武藤とのマッチアップで粘り強い守備を披露。代表で何度もともに戦った大迫とのバトルにも果敢に挑んだ。

 神戸からすれば、この右サイドにボールを集めて攻め筋を探りたい所だったかもしれない。実際、中央から大迫が右に流れ、武藤とともに長友とロングボールを競る場面も見られたが、FC東京のCBエンリケ・トレヴィザンの加勢を受けつつ、長友も体を当て、神戸アタッカー2人を自由にプレーさせなかった。

 前半は長友のプレーに象徴されるようにFC東京のタイトでタフな守備が流れをつくり、攻めにもつながった。18分、相手GKの前川のミスキックを仲川がカット。ボックス左にいたディエゴ・オリヴェイラにパスを送ると、逆サイドのネットにシュートを突き刺し、FC東京が先制に成功する。

 神戸も初瀬のCKを武藤がヘッドで狙った20分の場面や、前半終了間際にカウンターから大迫がポストとなってボールを落とし、拾った武藤が抜け出してシュートを放ったシーンなど惜しいチャンスはあったものの、ゴールを奪うことはできず。前半はFC東京のリードで終わった。

 迎えた後半、1点を負う神戸はアンカーの大﨑を扇原に代え、ボール支配率を向上を狙った。だが、FC東京の早い出足と囲い込みに遭ってなかなか前進することができない。ボールの奪いどころが定まらず、必然的に良い形の攻めができない状態が続いた。

 一方でFC東京は後半もいい守備からいい攻撃につなげる場面も作りだす。69分にはカウンターから長友が右サイドで攻め上がり、左足アウトでクロスを供給。対応した神戸のCB本多の手に当たり、オン・フィールド・レビューを経てPKを獲得した。しかし、キッカーを務めた松木のキックはGK前川に止められてしまう。

 押せ押せの展開の中で得点チャンスを逃したFC東京に対し、神戸は決定的なピンチを防いだことで、その直後から攻撃機会を増やしていく。80分の山川のシュートは野澤に止められたが、神戸はアディショナルタイムに、ついに同点ゴールを手にしてみせる。

 ボックス内でボールをコントロールしようとしたパトリッキが、FC東京のDF木村に足の裏を蹴られる形となり、オン・フィールド・レビューを経てPKを獲得。攻めのカードとして投入されたパトリッキと守備固め要因としてピッチに送られた木村の攻防は、木村にその意図はなかったにせよ、結果的にパトリッキが勝者となった。このPKをエース大迫がきっちり決め、土壇場で試合を振り出しに戻した。

 13分と表示されたアディショナルタイムは攻める神戸、守るFC東京という構図で展開される。90+6分、パトリッキが左サイドを攻略してシュートを放つが、ボールは枠を逸れた。それでも流れは神戸にあると思われたが、試合は誰もが予想できなかったドラマへと突入していく。

 途中出場の青赤の背番号15番が一人でゴールを生み出してみせる。アダイウトンが左サイドでボールを持つとカットインしてボックスに進入。神戸の守備者4人が行手を阻む中、右足を振り抜くとシュートは逆サイドに突き刺さった。

 土壇場で勝ち越したFC東京は確かに勝利をつかみかけた。ただ、神戸も諦めなかった。90+14分、敵陣やや左でクリアを拾った扇原がボックス右にいる大迫に対角のボールを展開。大迫が頭で中に折り返すと、そこには山口が待っていた。FC東京のDFが寄せるよりも早く右足ボレーでボールを捉え、ゴール左下に叩き込む。

 神戸の同点ゴールが生まれた瞬間は流れの中で長友が大迫にマークに付いたためミスマッチが起き、ほぼフリーな状態でアシストとなるヘディングを許した。それまで最も警戒すべき大迫にうまく対応してきたFC東京だったが、押し込まれ、クリアそのものが小さくなったこともあって最後の場面でズレが生じてしまった。

 アディショナルタイムに3ゴールが生まれるという激しいゲームは2−2で決着。順位の差こそあったものの、最後の最後まで熱のこもった一戦となった。

▼出場メンバー
・FC東京◎GK野澤大志ブランドン、DF小泉慶、森重真人、エンリケ・トレヴィザン、長友佑都、MF東慶悟(68分:原川力)、松木玖生、渡邊凌磨、FW仲川輝人(82分:木村誠二)、ディエゴ・オリヴェイラ(68分:アダイウトン)、俵積田晃太(68分:ジャジャ・シルバ)

・神戸◎GK前川黛也、DF酒井高徳、山川哲史、本多勇喜(75分:マテウス・トゥーレル)、初瀬亮(75分:飯野七聖)、MF山口蛍、大﨑玲央(46分:扇原貴宏)、佐々木大樹(68分:ジェアン・パトリッキ)、汰木康也(58分:新井瑞希)、FW武藤嘉紀、大迫勇也


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