上写真=高井幸大は第24節までの11試合にフル出場。経験を積み上げている(写真◎J.LEAGUE)
「もっともっと試合に出て」
「僕は、チームというよりも、まずは個人として成長するところを考えながら練習したいなと」
川崎フロンターレは2015年8月以来、8シーズンぶりのリーグ戦3連敗と苦しんでいる。ガンバ大阪に3-4、ヴィッセル神戸に0-1、サンフレッチェ広島に2-3。すべて1点差で、どの試合もスコアの通りにあとほんの少しだけ届かない内容だった。
センターバックとしてそのすべてに出場している高井幸大は、責任を強く感じている。
「失点が続いてますし、先制点を取られるとなかなか難しい試合になるので、個人で抑えるようになりたいなと」
G大阪戦では自らのバックパスのミスが失点に直結している。そんなディテールもあって、チームの戦いについて考える前に、まず自分の物足りなさを嘆くのだった。
伸び盛りの18歳。192センチの長身とリーチの長さを誇るセンターバックが、将来の飛躍を目指していま、鍛えている。そのポイントの一つに挙げたのが「食いつくかつかないか」のせめぎ合い。ボールを受けた相手に対してチャレンジするのか、待つのか。直近の広島戦では、満田誠に決められたアディショナルタイムの決勝ゴールに至るプレーの中で、ワンタッチでラストパスを出したマルコス・ジュニオールに一歩寄せた自らの判断が結果を分けた、と猛省する。
「少しボールに食いついてしまう場面も自分が多かった。センターバックは後ろにキーパーしかないので、冷静に対応できなければと思いました」
もちろん、苦しいときほど無理矢理にでも顔を上げなければ、次に進めない。ただ、この男に関しては心配は無用のようだ。
「そうですね、あんまり気にしないです」
ミスや敗戦をどう受け止めるか、というこちらの質問に、迷いなく答えた。そのメンタルの強さが頼もしい。
「成長はしていると思いますけど、もっともっと試合に出て、チームに貢献できるようになっていかなければいけないですね」
苦しいいまは、大きくなるための試練だ。強みは「まだまだ出せていない」とつぶやくが、それは、未来の自分の可能性を信じているからだ。
ということは、こんなもんじゃない、ということですね。そんな問いかけに対する答えは、はっきりとして力強かった。
「はい、そうですね!」